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リバーポートソング 第二部 第三話 ガンガン鳴っているはずの音楽がふっと聴こえなくなる感覚があった。彼女の目は心なしか少しうるんでいるようにも見えた。

【第二部 第二話はここから】 【あらすじと今までのお話一覧】  下北沢での中古盤あさりは大した収穫がなかった。前回もそうで、東京中のサブカル好きの若者が集る街だから、良いものが入ってもすぐに売れてしまうのかもしれない。渋谷についたころにはも...
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リバーポートソング 第二部 第二話 このアーティストのここが凄いと熱っぽく語る彼らの目は澄んでいた。そしてその瞳の奥にはしっかりとした裏付けがあった。

【第二部 第一話はここから】 【あらすじと今までのお話一覧】  この頃には映画にも飽き始めていたが、だらだらと見る習慣だけは続いていて、何本か実家に置いてあったのを見た。それもめぼしいものがなくなってしまって、近所のTSUTAYAで映画を物...
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リバーポートソング 第二部 第一話 フェイスブックの更新は皆途絶えている。

第二部「絶対安全毛布」 【第一部最終話はここから】 【あらすじと今までのお話一覧】  そこまで思い出すと、自分が会社の地下駐車場で営業車のハンドルにもたれかけながらぼーっとしている事に気づいた。袖を一振りして腕時計を見る。八時半。タグ・ホイ...
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リバーポートソング 第十四話 もうじき11月になろうとしていた。上京してから初めての冬が、すぐそこまで来ていた。

【第十三話はここから】 【あらすじと今までのお話一覧】  花田さんは190センチぐらいはあるのではというぐらい背が高かった。髪はセンター分けで長さはミディアム、黒縁の眼鏡をかけていたから、まじめで大人しく寡黙そうな印象を持ってもおかしくなか...
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リバーポートソング 第十三話 そうだったかもしれない可能性を考えることは辛いことだし、意味のない事だ。しかし、そうとは知りつつも何度も繰り返して考えてしまう。

【第十二話はこちらから】 【あらすじと今までのお話一覧】  時々この時からそのまま錦とずっと一緒にバンド活動を続けていけばどんな未来が待っていたのだろうと考えてどうしようもなくなる時がある。その選択肢も確かにあったはずだ。しかし僕は途中で放...
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リバーポートソング 第十二話 曲の世界観を広げるか深めなければならない。シリアスなムードを獲得しなければならない。だが、その方法が全くと言っていいほど分からなかった。

【第十一話はこちらから】 【あらすじと今までのお話一覧】  修禅寺は伊豆半島の北部にある山間の小さな町だが、町の中心を川が流れており、その名の通り修禅寺という寺があり、北条家に政治の実権を握られた源氏が滅ぼされた場所でもあり、そして温泉や明...
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リバーポートソング 第十一話 曲が始まってしばらくすると不思議と周りの雑音が消え、聞こえるのはギターと歌だけになった。

【第十話はここから】 【あらすじと今までのお話一覧】  小田原に全員が集まったので早速目的地である伊豆半島の下田方面に向かうことになった。そこにバンド合宿ができるスタジオ付きの宿泊施設があるということだったが、その前に昼飯と観光がてら熱海に...
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リバーポートソング 第十話 僕の周りは当時は笑顔であふれていたような気がする。笑っていないのはいつも僕だけだった。

【第九話はここから】 【あらすじと今までのお話一覧】  実家の滞在中に特にすることはなかった。昔は夢中になって通っていた地元のCD屋も、東京のCD屋を見た後では色あせてしまっていた。ブックオフや中古屋も覗いてみたが、特に面白いものも見つけら...
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リバーポートソング 第九話 気が付くとそこはサンクトペテルブルクではなく仙台で午後3時過ぎだった。

【第八話はここから】 【あらすじと今までのお話一覧】  テストやレポート群も無事終わり、大学生活で初めての夏休みになって、八月になった。その間高岸に何度か学内で会って※①ディスク・ユニオンの話をして今度ディスク・ユニオンの各地の店舗を二人で...
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リバーポートソング 第八話 彼女は僕にとってはまぶしすぎる存在だった。だからこれ以上彼女と深い交流をしようと言う考えは全く僕の頭にはなかった。

【第七話はこちらから】 【あらすじと今までのお話一覧】  次の練習は二週間程空いて八月になってからになった。駅までの道で石崎さんが聞いた。「そういえば二人とも実家帰るの?」 僕の実家は親戚の集まりとかも特に無いため、次の練習が終わったらすぐ...
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