連載小説 リバーポートソング第三部 第四話 音楽は続けてもバンドは辞めるという選択肢もあったかもしれない。一応ヒップホップや電子音楽の扉も開いてはいた。ただ、そこに一歩進むには僕はバンドミュージックにもうどっぷりとつかり過ぎていた。 【第三部 第三話はここから】【あらすじと今までのお話一覧】 柳がStraySheepsを辞めるのは簡単じゃなさそうだったが、高岸の方でも何かを感じて準備があったのかもしれない、それともStraySheepsに入りたいってドラマーなら結構いた... 2023.08.07 連載小説
連載小説 リバーポートソング第三部 第三話 現在のメンバーでの演奏が打ちのめされるぐらいマジカルなものだったら音楽を愛するものとして、それを邪魔するような行動を取るまいとは思っていた。 【第三部 第二話はここから】【あらすじと今までのお話一覧】 先のキャンプで作曲に対して自信が湧いてきたので何曲か作ろうとしてみたが、肝心の歌詞が出てこないため、なかなか曲作りは進まなかった。が、バンドを組みたいという思いはますます強くなって... 2023.07.18 連載小説
連載小説 リバーポートソング第三部 第二話 いままでギターと格闘して「なにもできない、なにもできない」と悩み、仮にメロディが思い浮かんでも歌詞が思い浮かばないという苦労が嘘のように、それからは歌詞があれば曲が作れるようになった。 【第三部 第一話はここから】【あらすじと今までのお話一覧】 石崎さんの祖父母への挨拶を済ませると、家の裏手の物置に行く。そこからキャンプ道具がぞろぞろと出てきたので、キャンプ好きのおじいちゃんおばあちゃんなのかと思ったが、どうやら石崎さんは... 2023.06.20 連載小説
連載小説 リバーポートソング第三部 第一話 それは僕の心をほんの少し癒してくれるが、同時にかなりキツく痛めつけてくる。 【第二部 第十三話はここから】【あらすじと今までのお話一覧】月報を書き終わるとすでに十時をまわっていた。のろのろと会社の戸締りをして、真夜中の冷ややかで、うす汚れた東京の空気を軽くすいこんで駅へ歩き出した。今年ももう終わろうとしている。イル... 2023.04.22 連載小説
連載小説 リバーポートソング第二部 第六話 僕たちは広い公園や河川敷に行き、寝転がって音楽を聴いたり、空をずっと眺めたり、くっつきあってゴロゴロ転げてお互いの心臓の鼓動を聞きあったりした。 【第二部 第五話はここから】【あらすじと今までのお話一覧】 何が起きたのか分からず暫く駅のホームで起きたことを頭の中で反芻しながら立ち尽くしていた。僕たちの間に、少なくともその時まで恋の煌めきのようなものは多分なかったと思う。それは完全にそ... 2022.07.26 連載小説
連載小説 リバーポートソング第二部 第五話 九月だったが、まだ暑く日差しの強い日で、ホーム横の木々の緑が五月のように色濃く見えた。 【第二部 第四話はここから】【あらすじと今までのお話一覧】「バンドはやったことないけど、ギターは趣味でやってる。佐々木のベースと合わせたことぐらいはあるよ」部屋の隅のスタンドに立てかけられたギターをじっと見ていたら杉元が言った。佐々木君と僕... 2022.07.17 連載小説
連載小説 リバーポートソング第二部 第四話 本当はそんな話をするつもりはなかったが、店の照明の暗さが何故かそういう気分にさせていた。 【第二部 第三話はここから】【あらすじと今までのお話一覧】 最初は前に小木戸とやった時の曲をまたこのメンバーのアレンジでやろうという話だったが、錦はまた何曲か書き溜めており、それもやりたいとの事だった。という事で錦が家で弾き語りしたものをマ... 2022.03.20 連載小説
連載小説 リバーポートソング 第二部 第三話 ガンガン鳴っているはずの音楽がふっと聴こえなくなる感覚があった。彼女の目は心なしか少しうるんでいるようにも見えた。 【第二部 第二話はここから】【あらすじと今までのお話一覧】 下北沢での中古盤あさりは大した収穫がなかった。前回もそうで、東京中のサブカル好きの若者が集る街だから、良いものが入ってもすぐに売れてしまうのかもしれない。渋谷についたころにはもうへ... 2021.09.19 連載小説
連載小説 リバーポートソング 第二部 第二話 このアーティストのここが凄いと熱っぽく語る彼らの目は澄んでいた。そしてその瞳の奥にはしっかりとした裏付けがあった。 【第二部 第一話はここから】【あらすじと今までのお話一覧】 この頃には映画にも飽き始めていたが、だらだらと見る習慣だけは続いていて、何本か実家に置いてあったのを見た。それもめぼしいものがなくなってしまって、近所のTSUTAYAで映画を物色し... 2021.04.04 連載小説
連載小説 リバーポートソング 第二部 第一話 フェイスブックの更新は皆途絶えている。 第二部「絶対安全毛布」【第一部最終話はここから】【あらすじと今までのお話一覧】 そこまで思い出すと、自分が会社の地下駐車場で営業車のハンドルにもたれかけながらぼーっとしている事に気づいた。袖を一振りして腕時計を見る。八時半。タグ・ホイヤー。... 2021.03.13 連載小説