スピッツ最高傑作の呼び声も高い名盤『ハチミツ』を全曲解説。

今回のアルバムレビューはスピッツの6枚目のアルバム『ハチミツ』です。

『ハチミツ』は セールス人気共に絶頂期に発表されたアルバムで、大ブレイクのキッカケになった「ロビンソン」、同じく同時期にヒットした「涙がキラリ☆」の2曲を収録しています。

それでは『ハチミツ』がどんなアルバムなのか早速レビューして見たいと思います。

『ハチミツ』とはどんなアルバム か

スピッツの最高傑作がなんであるかは結構意見が分かれると思います。

しかし意見として多いのは『三日月ロック』『名前をつけてやる』と本作『ハチミツ』なのかなと。

実際にこの『ハチミツ』ですが人気アーティストによってまるまるカバーアルバムが作られてます。

『Just Like Honey』っていうタイトルなんですが、これはジーザス&メリーチェインというイギリスのロックバンドの曲名からとられていますね。

『ハチミツ』はそうでも無いのですが、初期のスピッツはこのジーザス&メリーチェインから影響を受けているようなところもあるのと、単に『ハチミツ』のカバーなんで「ハチミツみたい」ということで、そういうお遊びから来てるタイトルでしょう。

この『Just Like Honey』ですが人気の若手アーティスト達によってカバーされた非常に興味深い内容になってますので興味のある方は是非チェックしてみてください。

JUST LIKE HONEY -『ハチミツ』20th Anniversary Tribute- [CD]

YouTubeで内容の試聴も出来るみたいですね。

また羽海野チカによる名作漫画『ハチミツとクローバー』のタイトルの元になったアルバムでもあります。

話を『ハチミツ』に戻します。

まぁ、これは本当に私見というか個人的なイメージなんですけど「土曜日の昼下がり」っぽいアルバムです。

それも5月とかの、何となくポカポカした陽気の中でのんびり昼食とっているような。明日は日曜日だし楽しいなみたいな。

アルバムジャケットの野原のイメージのせいもあると思うのですがなんとなく暖かくて優しいサウンドが多い。

何回聴いても土曜日の昼下がりのイメージを想起させてくれるというか、そういうところに持って行ってくれる。

それが気持ちいいので何度も聴いてしまうのはありますね。

あとは前述した通り2つの大ヒットシングルが収録されてるアルバムなんですけど、この2曲。実はあんまり聴いてないです。

それでも大好きなアルバム。

シングル意外の曲がかなりいいんですよね。

後ほど詳しく語ります。

子供の頃に結構聴いていたのもあって、あんまり客観的に評価はできないかも知れないですけど、人気も評価も高いアルバムで、聴いて損は無いと思います。

では曲を一つ一つレビューしていきます。

4. ルナルナ

アレンジがバンドの範疇を超えていて、ストリングスとかブラスセクションが途中から結構派手に入っているんですけど、きちんとバンドの色も出ているバランスのいい曲。

それぞれのパートにちゃんと主張や見せ場があるんですね。

しかもそれがきちんと楽曲を良くする方向に働いている。

『Crispy!』って言うアルバムが有りまして、『ハチミツ』のプロデューサーである笹路正徳とスピッツが最初にタッグを組んだ作品なんですね。

その『Crispy!』ですが、まだ笹路さんのアレンジとスピッツのオリジナリティがこなれてない感じ、まだ調和してない歪な感じがあるんです(それはそれで面白くてアジがあって良いのですが)。

けれど今回の『ハチミツ』ではこの「ルナルナ」のように結構バランスがとれて調和してきている。

その調和具合が一番いい感じに発揮されてるのがこの「ルナルナ」だと思います。

イントロと曲の最後に入る短いギターフレーズがあるのですが、このアクセントがすごくいいんですね。

うまく言えませんが曲全体に広がりを持たせているような気がします。

このワンフレーズの有無が結構違うなと。

5. 愛のことば

これはもう名曲ですね。「歩き出せ、クローバー」とこの曲が入っているだけで、『ハチミツ』は名盤だなって思ってしまうぐらい。

メロディは当然いいんですけど歌詞がいい。

限りある未来を絞るとる日々から

抜け出そうと誘った君の目にうつる海

くだらない話で 安らげる僕らは

その愚かさこそが 何よりも宝もの

 

「愛のことば」より

この冒頭の歌詞が特に好きですね。

つまらない日常を端的に表す一行目。

そこからの抜け出そうとさそった「君」の瞳には「僕」には見えてない広大で希望に満ちた未来が見えている。

そのビジョンが「海」の一語であらわされている。

これが詩というものですね…。

入魂のギターソロがありまして、結構好きで耳コピして弾いてたりしました。

リズムギターはプロデューサーの笹路さんが弾いてます。

アルバムの最初からこの曲までは文句なく素晴らしい流れだと思いますね。

『ハチミツ』を名盤たらしめてるものの半数以上がこの前半部にあると思います。

6. トンガリ’95

バンド名のスピッツというのはそもそもドイツ語で「尖った」という意味。

ですので、ある意味彼らのテーマ曲とも言えるのではないでしょうか。

スピッツ流のパンク、パワーポップチューン。

草野さんの歌のキーの高さとか独特の柔らかい声の質感はスピッツのとんでもない武器であり個性だとおもうんですけど、こういうロック、パンク調の曲ではやはり不利に感じます。

一枚目ではそれを逆手にとって結構上手くやっていて、こういう勢いある曲も個性的で魅力的でした(「ニノウデの世界」など)。

しかし笹路正徳プロデュースのメジャー的に整った方向性の音だとこういう音楽的にストレートなアプローチだとやっぱりボーカルが浮いてしまう感じがあります。

そういう意味では1st収録の「ニノウデの世界」のほうがバンドサウンドとして面白いし、スピッツの真価が発揮された曲だと思ってしまいます。

このアルバムで、「トンガリ’95」をニノウデのようなサウンドに寄せちゃうとアルバムとしてのトータルのバランスが崩れてしまう心配もあるので、これはこれで正解な気はしますが…。

7. あじさい通り

キーボードリフから始まる今までとはちょっと毛色の違う曲。

次作の『インディゴ地平線』にも「虹を超えて」があったようにこういうちょっと暗めのトーンの曲がアルバムの中盤のに出てくるというのは1つのパターンかもしれません。

雨ソング、雨の日ソングとしてもよく挙げられる事の多い曲。

8. ロビンソン

彼らの最大のヒットシングル曲。

多分「スピッツの代表作って何」って聞かれたら、よほどの捻くれ者でなければこれか「チェリー」なんでしょう。

けどこれが、スピッツらしい曲か、彼らの良いところを出し切った曲か、というとそうでもないと思います。

しかし当時の多くのリスナーや新しいファンはこういうスピッツを求めてたんでしょうね。

それに応えたアルバムが『フェイクファー』というアルバムだったんじゃないかと思ってます。

いろんなところで沢山流れているので、普段はなかなか聴く気にはなれないんですが、やはり聴いてみると特別な何かがある曲だと思います。

この曲が大ヒットしたっていうのも面白いですよね。

「涙がキラリ☆」でも似たようなことを言いましたが、「ああこういうことをうたってるんだな」って感覚ではスッと入ってくるんですが、いざそれを自分で言葉で説明するのは難しい。

まずタイトルの「ロビンソン」ってなんでしょう。

全く歌詞の中にロビンソンって言う言葉は出てこないし、「ロビンソン」を導き出すようなヒントもない。

けどこれは、「ロビンソン」としか名付けようのないものなんだろうな、っていう妙な説得力はありますね。

9.Y

バラード。

これは草野マサムネの歌、声質を最大限武器にした楽曲。

ほかの男性アーティストが歌ってもこのような透明感はなかなかでないでしょう。

しかし、プロデューサーの笹路さんのアレンジ、オーケストラや包み込むようなシンセサウンド、打ち込みっぽいドラムがメインになってくるのでバンドぽさ、スピッツのよさが十分に発揮された曲とは言い難く、良い曲だとは思いますが少し不満も残ります。

10. グラスホッパー

アップテンポでロック調で、コミカルなナンバー。

でもスピッツの名曲にあるマジカルな雰囲気がちょっと無いのが残念ですね。

11. 君と暮らせたら

最後の曲。

アコースティックギターを基調としたフォークロックナンバー。

スピッツはアルバムのオープニングとエンディングに持ってくる曲のセレクトが上手いですね。

「君と暮らせたら」の何がエンディングに相応しいかというと、「続いていく」っていう感覚ですかね。

恋人か、もしかしたら片想いかもしれないですけど、そんな相手とのんびりした理想的な余生を送りたいなっていう、そういう願望をもつ主人公の話。

それが、この『ハチミツ』ってアルバムが見せてくれる夢をくっくりと閉じるのではなく、日常に続いていくかのように溶け込んで終わっていく…。

そのような感じを与えてくれる終わり方だと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか。

何回か言及しましたがプロデューサー笹路正徳とのコンビが一つの成果として結実した作品だと思います。

特に前半の名曲群の流れは、スピッツの長いキャリアの中でも最高峰ではないでしょうか。

冒頭でも言いましたが確実にスピッツの代表作ではあるのでまだ聴いたことのないファンの方に是非聴いていただきたいですね。

この後の『インディゴ地平線』ではそのバランスを保ったまま初期の頃の様なしっかりとしたバンドサウンドを聴かせてくれるので、そちらもおススメです。

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