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【全曲解説】BUMP OF CHICKEN 最高傑作『THE LIVING DEAD 』

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「天体観測」で大ブレイクする前のインディーズ2枚目、BUMP OF CHICKEN 『THE LIVING DEAD 』

人によっては最高傑作と評する人もいますね。

その気持ちもわからなくもないです。

僕も本作が1番好きです。

青臭いセンチメンタリズム、理想主義。彼らが大嫌いな人がいるのは理解はできるんですが、その熱量が僕は好きなんです。

とにかく荒削りではありますが若々しく、語られるストーリーにあった演奏を聞かせてくれる力作です。

というわけでこの時期にしか味わえないバンプの魅力が詰まった『THE LIVING DEAD 』、早速全曲解説していきます。

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1. Opening

タイトル通りアルバムの幕開けに用意された小品。

基本的にアコースティックギターによる藤原さんの弾き語りの曲で、「泣いている君に今からいくつかのお話を聞かせるよ」と歌っています。本作はこの語り手が話すいくつかの物語であるというコンセプトアルバムになっています。

2. グングニル

のちに『ワンピース』の主題歌「sailing day」を彼らは歌うことになるんですが、これでも良かったんじゃないかと思う曲。

テーマは「周りにいくら嘲笑されようとも、信念をもって夢に向かっていく人間の美しさ」

よくあるテーマといえばよくあるのですが、話の運び方と表現の妙で説得力を持たせているのは流石です。

よく出来たジャンプの漫画みたいなんですよね。

その物語性をどう評価するかが彼らの好き嫌いの分かれ目な気がします。

前述したテーマも『ワンピース』に通じる所がありますし、話の内容も夢を追い求めていく過程が航海による宝探しに例えられていて共通しています。

タイトルのグングニルとは北欧神話の神オーディンの槍のことで、ここでは主人公の持つ信念のメタファーとして使われています。

死に際の騎士 その手にグングニル狙ったモノは 必ず貫く

周りから何を言われようと不断の努力を続ける人物像に胸を打たれるナンバーです。

3. ベストピクチャー

好きだという人に会ったことは無いですがバンプの中で一番好きな曲。

作詞藤原基央、作曲はベースの直井由文。

この曲好きなので直井さんの曲をもっと聴いてみたいですね。

さて歌詞ですが、売れない絵描きが主人公でして、成功を手に入れるんだけど、成功したことで絵を描くことの楽しみをうしなってしまった…というまあ、描かれるストーリー自体はやっぱりよくある物なんです。

けれども、バンドとしての一体感も感じるし、歌い方で説得力を持たせています。

そして本当に伝えたいテーマは表現することの喜びですね。

主人公にとっては「絵を描くこと」=「生きていること」なんですね。

それをいつの間にか見失っていた事に気づく、というところで終わります。

これがバンドの姿にも重なります。

彼らにとっても歌う事、演奏すること、表現をすることは「生きている実感を得る為に欠かせない」というそんな若い切実さが演奏からビシバシ伝わってきます。

そこが僕がこの曲を特別好きな理由なんです。

是非聴いてみてください。

彼ら自身が大成功した今、このナンバーをどう思うのか、気になるところです。

音楽的には無骨でシンプルなギターロックなんですけどそれがかえって想いがストレートに伝わる感じがしていいですね。

ハモリが気持ちいいギターソロも好き。

4. 続・くだらない唄

このアルバムの収録曲の中で最も自伝的な一曲。

「リリィ」にも自伝的要素は少しはありそうですが。

前作収録の「くだらない唄」よりもさらに時間が経過している内容です。

5. ランプ

シングル曲で初期代表作。

自分を奮い立たせてくれるこころの中の情熱、それをランプにたとえた曲。

こうやって要約してしまうと陳腐に響いてしまいますが、実際に聴くとメロディと詩によって説得力があります。

のちの「ダイヤモンド」などの曲に繋がっていく名曲。

6. K

本作のもう一つの代表作。その高い物語性でファンの根強い人気を誇る名曲。

特に終盤の物語の展開とタイトルのKの理由が最後にわかる演出は鳥肌もの。

この曲のメインキャラクターは売れない絵描きと彼が飼っている黒猫の「Holy Night(聖なる夜)」の友情の話。

Holy Nightが、ある出来事からKを一文字もらって「Holy Knight(聖なる騎士)」になるというお話でもあります。

それでタイトルが「K」なんですね。

芸術家が苦労するストーリーがここでも展開されています。

「ベストピクチャー」とは違う結末ですが…。

7. リリィ

ミュージシャンである、かたくなな主人公の心を解きほぐしてくれた一人の女性のことを歌ったラブソング。

他の曲は何かしら自分が取り付かれていることに打ち込んでいく人々の様子、心の葛藤や決意、をうたったものがメインです。

しかしこの曲では確かに主人公は音楽に身をささげてはいるもののあくまでもその女性が話の中心にあるので、他の曲とはちょっと毛色が異なりますね。

ギターのアルペジオやフィードバックを生かしたサウンドなど、音楽性は今のバンプに1番近しいかも。

8. Ever lasting lie

二人の主人公の人生を交互に描いた8分以上ある大作。

といっても歌が特別長いわけではなく途中にはさまれるギターインスト部分にそれなりの長さをとっています。

この部分が主人公達の長い戦いを表しているみたいに聞こえますね。

インスト部分があけて始まった歌では何十年後かの死の間際の主人公達の様子が描かれています。

9. グロリアス・レボリューション

語られる最後の物語。

この曲は本作の他の曲と違って具体的なストーリーというよりは、アルバム全体を包括するようなテーマを取り扱っています

「すなわち自分の内なる声を信じて自分の道を進め」というメッセージですね。

その行動のことをグロリアス・レボリューション(偉大なる革命)と言っています。

余談ですが英語で大文字のGlorious Revolutionといえばイギリスで17世紀に起こった「名誉革命」のことをさします。

10. Ending

オープニングの設定を引継ぎ「話の語り手がすべての物語を語り終わった」という内容の曲。

これらの話がこの「Opening」と「Ending」に出てくる「君」にとってプレゼントであり、これらの話の登場人物達は「君」の味方だといっています。

つまり「君」は自分の進むべき方向が決まらずに悩んでいる人物、またはやりたいことはあるが周りからの反対や圧力に負けそうになっている人物、と解釈できそうですね。

このアルバム自体がそんな「君」と似た境遇にある人々へのメッセージ、力強い味方になっているということでもあります。

隠しトラック「THE LIVING DEAD」

歌はなく、インストナンバーで、ひたすらギターの増川さんがいじられるという曲。

インストとしては結構好きですね。

バンプのアルバムおわりのおふざけ的な隠しトラックのなかでは結構聴いている曲です。

ただ、本人達もギャグのつもりでやっているんでしょうが、内容がいじめっぽい感じだからなのか、サブスクと再発盤では、カットされてますね。

コアなファンは中古で探してみては…。

まとめ

というわけで全曲解説してみました。

最初述べた通り、音楽的には今のバンプよりも素朴で無骨なギターロックで、現在の作風の様な壮大さは無いんですけど、楽曲に込めた熱いエナジーみたいなものは彼らのディスコグラフィー上ではピカイチだと思います。

今のバンプしか知らない人も是非チェックしてみて下さい。

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