なんてことだ……。気が付いたら前回から3か月たってました。ということで久々におすすめ旧譜&新譜をお送りします。
まあこれは完全に邦楽ロックの名盤ベスト100をずっとつくってたり、グレイプバインの企画をやってバインしか聴いてなかったりしたからなんですよ。あと2022年年間ベストも平行してつくってまして。結局22年の年間ベストは暗礁に乗り上げたまんまなんですけれど。
それから1月は高橋幸宏、ジェフ・ベック、デヴィッド・クロスビーと自分の好きなミュージシャンが次々と亡くなって、正直かなりこたえましたね。
なかでも幸宏さんは、まあ体調が思わしくないのはなんとなくニュースとかで知ってはいたんですけど、ドラマー、シンガー、コンポーザー、プロデューサーと、どの側面からでも尊敬していて、関わる作品に沢山触れてきていたんでショックは大きかったです。
YMO世代の人とかはもっときてたでしょうね。
という風に忙しくしてたんですけど、そんな中でもいろいろと(自分にとって)新しいものをぽつぽつと聴いてたりしましたので、早速紹介していきます。
『12』坂本龍一
いきなり23年の年間ベスト一位が決まってしまいました。教授(坂本龍一)の最新作です。
ドローン的なシンセサウンドとグランドピアノの演奏をフィーチャーしたアンビエント作品なんですけど、生ピアノ演奏に比重を置いた曲は教授の息遣いや衣擦れ、椅子のきしむ音も録音されており非常に生々しくもあるんですが、そんなノイズも不思議と心地よい一作になっています。これらの音は今の技術ならカットできたはずなのでそれを残したのはわざとでしょうね。
しかし、プレイヤーが近年増えていて質も量も増えてきた印象もあり、アンビエントもなかなか差別化しづらいジャンルになってきたと同時になかなか「これは」というものに出合いにくくなったような気もしますが、今作は流石というか一発で別の空間に連れていかれるような世界観の重みと深さがあり、すぐにひきこまれましたね。
ちょっと良さがわからなかったという人はなるべく暗い場所で、リラックスしながら聴くとかしてみるのがおすすめです。音の中に没入できます。
「All I Can Do」The Carpenters
こんなジャジーでTVとか映画のBGMに使われてそうな匿名性の高い、ライブラリーミュージックみたいな曲カーペンターズが作ってたんだ! と一聴してかなり驚きました。
それもそのはずこの曲はデビュー作の『Ticket to Ride』(1969年)に入ってる一曲なんですね。
まだ彼らのスタイルが定まってなかった故の音楽性ということで非常に面白いです。そしてこのかっこいいドラムは当然カレン・カーペンターが叩いてます。
「Eddie」Red Hot Chili Peppers
ジョン・フルシアンテが再再復帰した後の2022年発売に発表された2枚目『Return of the Dream Canteen』から。
全部手癖で作ってない? ってぐらい、メロディーからアレンジまでいつものレッチリサウンド。ということで特に目新しさもないんですけど、ジョン・フルシアンテのギターのトーンはやっぱ素晴らしいなと改めて思ったし、彼がいてこそのレッチリというのはやっぱり否定できないなと感じた一曲。なんだかんだで聴いてる。
瞳惚れ / Vaundy
大胆な引用でたまにSNSの音楽好きの間で賛否を引き起こしているVaundyの2022年発表曲。
あまり彼の曲はピンと来てなかったんですけど、この曲はど真ん中でした。ファンキーなポップチューンで、やはりこういうのは得意なので、踊れるポップソングをこれからも作り続けてほしいです。
『Morning Phase』BECK
12枚目のアルバム。『Sea Change』の時のメンバーを再び集めた一枚。これは質問箱でおすすめされて知ったんですけど良かったですね。ベックはやはり初期の、ヒップホップやダンスミュージックやロックを下敷きにしたにぎやかでいかがわしいイメージがあったんですけど近作はこんな穏やかな一枚もあるんですね。ジャケ写に現われているように、穏やかな陽の光にさらされながら癒される感覚のある一枚。