2022年10月のおススメ旧譜、新譜をお送りします。Arctic MonkeysやThe 1975、Taylor Swiftなど、大物アーティストのリリースが続いてTwitterの音楽界隈もかなり盛り上がった一か月でした。
『Dub Side of the Moon』Easy Star-All Stars
Pink Floydの『狂気』を全編レゲエアレンジしてカバーした一枚。色物かと思いきやかなりしっかりした作品で、レゲエの丁度いいシリアスさが、原作の皮肉混じりのユーモアと調和していてこれはこれでかなり味わいがあってよいです。
というか『狂気』がとっつきにくいと思ってる人で、こっちの方がすっと入れる人もいそうですね。レゲエってめちゃくちゃ踊りやすいから、原曲の雰囲気をある程度残しつつ、ダンサブルに仕立てあげてるから、しっかりとしたアレンジなら良くないわけがないんです。
いろんなレゲエカバーを集めた記事とかそのうち書きたいですね。
とにかく『狂気』が好きな人は必聴ですし、レゲエ入門としても機能するのではないでしょうか。
Easy Star All-Starsは他にもRadioheadの『OK Computer』の全曲レゲエアレンジカバーアルバムも出していてこちらもなかなか良いです。
『Hypersymmetry』♥ GOJII ♥
当時のHip Hopや全盛期だったEDMが反映された強化されたビートにきらびやかなシンセサウンドが炸裂するHyperpopの名作(2016年発表)。ユリイカのHyperpop特集号で知りました。
Hyperpopらしいゴージャス感はあるんですけど、同ジャンルの中でははっちゃけ感は抑え気味で、メロウで感傷的な雰囲気があって、そこも個人的にはポイント高いです。
ところでユリイカのHyperpop特集、なかなか全体像がつかみにくい同ジャンルの入門としても優れてると思うのでHyperpopを知りたい、興味あるという人には断然おすすめですね。いまのところ本書に代わる入門書はない気がします。雑誌のバックナンバーですので、在庫がなくなって変に高騰する前にどうぞ……。
「Next To Me」DJ Sabrina The Teenage DJ
イントロがやたら最高でノスタルジックなムード満載な80年代のポップスの冒頭、「これから物凄くいい曲がはじまるんだ!」っていう予感がある部分を引き伸ばしてずっと聴かせてるみたいな曲。
DJ Sabrina The Teenage DJっていうアーティスト名もいいですよね。強烈にノスタルジーを掻き立ててくる、ドリーミーで純粋無垢な楽曲は10代、それもローティーンが夢見てるような希望にあふれた世界観をどこか彷彿とさせます。
DJ Sabrina The Teenage DJはロンドンのプロデューサーで、The 1975の新作にも収録された「Happiness」の共作者でもあります。
『If You Are Into It, I’m Out Of It』Christoph de Babalon
ドイツのDJ, プロデューサー、Christoph de Babalonの代表作(1997)。
デヴィッド・リンチの映画のワンシーンみたいなジャケのイメージ通りのダークな音像が共通する楽曲が収められてた一枚。が、アンビエントあり、ドラムンベースありで振り幅もある。
一曲目のダークアンビエントが白眉。
今月の本:『ヒプノシス ロック名盤デザイン秘話』
ピンク・フロイドの『狂気』『原子心母』などのレコードジャケットで有名なデザイナーチーム、ヒプノシスのメンバーだったオーブリー・パウエルの自伝的な内容の本。
いや、ヒプノシスの図録みたいなものを期待してたんですけど、そんな網羅的なものじゃなくて、有名アルバムジャケットの撮影秘話みたいな、タイトルまんまの本でしたね。
装丁も凝ってるし、内容も十分面白いんだけど、8,800は若干高い気がする……。
限定2,000部なんで後でプレミア化するかもしんないですけど、よっぽどヒプノシス好きっていう人以外にとっては高いかもです。
勢いでこっちも買っちゃいましたよね。これはヒプノシスの全仕事が収録された図録で簡単な英語の説明もついてます。これはかなりおすすめです。正直買いです。
これも日本語訳がやはり限定2,000部で『ヒプノシス全作品集』という名前で過去に販売してて、中古がプレミア化してて4万円ぐらいするんですけど、上記リンクの英語版なら新品で6,000円ぐらいで買えます。
図録なんでみるだけで楽しいし、英語もまあグーグルレンズつかったりして読めばいいと思うので、こっち買うのがおすすめです。