The Collectorsの名盤デビューアルバム『僕はコレクター』

今回は、誰もが抱える悩みや不安、不満や希望をポップでみずみずしいバンドサウンドに乗せた傑作、1987年発表のザ・コレクターズのデビューアルバム、『僕はコレクター』を紹介したいと思います。

時には僕らを代弁してくれたり、時には楽しませてくれたり。まるで気が置けない友達の様に寄り添ってくれる一枚。響く人には深く響く1枚だと思ってます。

早速中身を見てみましょう。

1. 僕はコレクター

疾走感あふれるオープニングにふさわしい一曲。

一見ポップなメロディーに乗せられた楽しいラブソングに見えますが、歌詞をちゃんと読み解くとなかなか不穏な雰囲気があります。

『コレクター』っていう1965年公開のサスペンス映画がありまして、ザ・スミスとかもシングルのジャケットでパロディーにしてる映画なんですけど、それからインスパイアされてそうですね。歌詞の内容に重なる部分があります。気になる方は是非チェックしてみて下さい。

コレクターズは真っ当なギターバンドという感じできちんと曲ごとに印象的なギターのフレーズを入れてくるんですがこの曲なんかもそうですね。イントロからギターフレーズで魅せてくれます。

2. Too Much Romantic 

片思いの相手に公衆電話ボックスから想いを告げようという、スマホが普及した今ではありえない設定のラブソング。

しかし告白する時のドキドキっていうのは変わらないと思うのでそういう意味では普遍的な内容。

不安だけれども告白が成功したら、という希望がある。そんな両方の感情を上手く表現したポップなラブソング。

3. プ・ラ・モ・デ・ル

キャッチーで踊れるシャッフルナンバー。バットマンにまつわるキーワード、「バクダンさわぎ」という言葉が歌詞にありますが、これはイギリスのパンクバンド、ザ・ジャムが元ネタっぽいですね。

そもそも音楽的にもコレクターズは、初期ザ・フーやジャムなどモッズ系のバンドをお手本、意識しています。

そんなモッズ系のバンドはモータウン系やR&Bなどのサウンドやリズムに影響受けてますので、コレクターズも多分に漏れずモータウンサウンドやR&Bの影響が少なからずあります。

このシャッフルのリズムパターンなんか典型的ですけどそうですよね。

歌詞の内容は子供の頃のテレビの中のヒーローへの憧れとそんな夢を託した自分のプラモデルへの愛着を歌った歌。そしてそんな童心を何処で無くしてしまったのだろうと、最後の方で歌われています。

リズムを強調して叩きつけるように歌われる言葉とメロディーのキャッチーさが癖になる名曲だと思います。

4. 1・2・3・4・5・6・7 DAYS A WEEK

労働についてうたったアップテンポなポップナンバー。これは身につまされますね(笑)。

働くことの不満と憂鬱を歌った曲なんですけど、これまたポップなんですよね。

「働きたくねぇ」っていう怒りのトーンでぶちまける感じではなく、負の感情を親しみやすいキャッチーなメロディーにのせて浄化してしまうようなスタイルなんです。

5. GO! GO! GO!

「大人たち」が敷いたレールの上はのらないで、夢をみていたいというテーマ。

しかしなんですね…そういったレールにのることさえ難易度が高くなっている2020年には響かないテーマかもしれないですね。

寧ろレールを自分で敷いていくようなタフさが否応なしに求められているというか。

6. 僕は恐竜

この曲は、本当に好きです。

the pillows「ストレンジ・カメレオン」が好きな人にオススメしたい。

ストレンジカメレオン/the pillows

テーマは一緒。「ストレンジ・カメレオン」では周りに上手く溶け込めない自分を「奇妙なカメレオン」としたわけですが、ここではそんな自分を恐竜にたとえています。

僕は恐竜 時代おくれで
あまりうまく笑えないさ
化石の街を散歩するには
大きなシッポがじゃまさ

恐竜はいうまでもなく、環境に適応できずにはるか昔に絶滅してしまった生物。

現代との乖離はもの凄いものがあります。「僕」はそんな恐竜なんですね。

長い首伸ばしても星はつかめない

星をつかもうとしても当然つかめない、星をつかもうとすること自体が「ばかげた」願望なわけです。けどそうせずにはいられない、それは「長い首」に象徴されているわけです。

夢を見ることには長けているけれど、「現実」に溶け込むことは苦手なんですね。

けれどまるっきり絶望だけというわけでもなく、自分の特性を活かして人を楽しませることが出来るんじゃないか、そんな願いが下記のフレーズに現れています。

醜いあばら骨、子ども達のはしごになれ

つまり、コレクターズそのもののように、夢を見る特性を活かして子供達を楽しませたいということまで、表現されているんです。

シンプルだけど実に深い詩だと思いますし、涙と共感を誘います。

7. ロボット工場

「ロボット工場(ファクトリー)」というキーワードを元に歌詞を展開していく曲。

一番では素敵な異性に魅せられてまるで操り人形みたいになってしまう、という意味で「ロボット工場」と歌いこまれています。

二番は皆同じ顔して、労働に従事する悲しい現代人の画一された行動をまるでロボット工場みたいだと歌っています。

恋愛と労働がこのアルバムのテーマなのかもしれないですね笑。

8. おかしな顔(ファニー・フェイス)

余程の美男美女でなければ、ずっと付き纏うコンプレックスであろう問題。

年齢を重ねるごとにあんまり悩まなくなるとはおもうんですけど、十代のころはどんな人でも自分の顔に不満を持っているものです。そんな悩みをストレートにうたった曲。

作曲の加藤ひさしさん自身も悩んでたんでしょうね…。彼らには年齢のことを歌った「…30…」という曲も。

9. 問題児

周りの大人の自分への無理解となぜだかわからないけどすっきりしない日常を歌っています。

「プラモデル」といい子供の気持ちや童心などをモチーフにしている曲が多いですね。

しかし考えてみればこういう気持ち、大人でも十分ありうるんですよね。子供を題材にすることで問題をわかりやすくしていますけど、歌われているのは大人になってからもずっと引きずる悩みだったりします。

10. 恋のカレイドスコープ

「プ・ラ・モ・デ・ル」同様、モータウンサウンドを意識したようなシャッフルの楽しいリズムが恋愛のふわふわした気分を表現するポップな一曲。スプリームスの「恋はあせらず」(You Can’t Hurry Love)みたいなリズムがすてきですね。

「プ・ラ・モ・デ・ル」よりも疾走感を重視した一曲で、3分以内でスパっとおわるのも気持ちがいいです。

11. 夢見る君と僕

きらきらとしたギターが大活躍するポップナンバー。

やっぱりこの曲でも大人たちと青春真っ只中の少年/青年の対立みたいなものがちょっと描かれていて、世界はくだらないんだけど「君」だけは違うというラブソング。

この頃のコレクターズの歌詞ってそういう童心に戻してくれるような、子供、若者の目線が凄くさえていると思います。

幼いころの感情の振れ幅の大きさが歌詞にも、サウンドにも表れているから我々の胸を打つのかもしれません。

逆にそういうのはあんまり感心しないという人はコレクターズは響かないかもしれないですね。

12. 僕の時間機械

ロカビリーテイストをたたえたギターソロが気持ちいい疾走感のあるラストナンバー。

最初はタイムマシンで自由に時間を行き来したいという欲望の歌かとおもうかもしれないですけど、途中からそれがメインテーマじゃないとわかるんですね。

傷つけて別れてしまった恋人をもう一度よりを戻したいという切実な願いがメインテーマなんです。

彼女とのあのバラ色の日々はかえってこないという嘆きが強すぎてタイムマシンがほしいってかないっこない願いを連呼している。

それぐらい深く後悔しているんですね、主人公は。

それをとてもポップなメロディーとアップテンポな元気よいバンドサウンドで聴かせてしまう。

こういう曲調は明るいのに歌詞は暗いってのは洋楽では結構ありますけど、邦楽だとあまりないからますます面白いです。

まとめ

一見シンプルなバンドサウンドなんですけど、自然なオーケストラアレンジやR&Bやソウルに根ざしたリズムなど、実は音楽的にも豊かということがわかっていただけたかと思います。

そして何よりもポップでキャッチーで勢いのある曲が沢山詰まった、聴いてて楽しいアルバムでもあり、歌詞をよくよく注意深く聴いてみると青年期に僕たちが感じていた悩みや不安、ドキドキをあらわしていて、すごく切なかったり、共感できたり。

ハマる人はかなりハマるんじゃないでしょうか。

ということで今回は、普遍的で身近なテーマをポップでみずみずしいバンドサウンドに乗せた傑作、ザ・コレクターズのデビューアルバム『僕はコレクター』の紹介でした。

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