いまの30代より上の人たちがSMAPすごい、すごいっていうのがあんまり若い人にはわかんないとおもうんですよね。
今日は彼らの凄さのほんの一面ではあるんですけど、実は曲も凄かったんだということがわかる、SMAP初期の名曲べスト10をお送りしたいと思います。
SMAPといえばいまは「世界に一つだけの花」かもしれないですけど、僕から言わせればもっと彼ららしくていい曲が沢山あるんですよね。
あの曲だけを聴いて判断してほしくないっていうのがあります。
で、今回の10曲の選出、非常に難航しました。
はっきりいって無理です。
20年以上も日本の芸能界のトップを走り続けてきたアイドルの膨大な曲の中からたったの10曲なんで。
またやっと選んだ10曲に順位をつけるのも大変でしたね。
選出の基準は下記です。
・2020年代の今聴いても古さを感じずに聴けるか
・SMAPらしさや彼らの魅力が存分に発揮されている曲か
上の基準にのっとって選出、順位をつけてみました。という事で早速どうぞ。
10位 がんばりましょう
- 1994年 オリコン最高位1位 作詞:小倉めぐみ / 作曲・編曲:庄野賢一
打ち込みのファンキーなビートにブラスをフィーチャーしたダンサブルな一曲。
ファルセット(裏声)を多用したサビが気持ちいいです。
歌詞なんですけどサビこそアイドルらしい前向きなメッセージなんですけど、曲の始まりなんて、結構ネガティブだったりします。
「けだるさ」や「みっともなさ」を隠さないんですよね。
かっこいいゴールなんてさ
あッとゆーまにおしまい
星はひゅるっと消えていた
また別の朝だった
ジリリ目覚ましが鳴り
血圧はどん底で
寝グセだらけの顔で
なんだかなぁ もう
歌の最初のソロパートが森くん(森且行)で次がキムタク、そして全員のコーラスで、サビでファルセットの高音と、段々盛り上がっていく構造も見事ですね。
何回聴いても飽きない優れたポップソングだと思います。
9位 はだかの王様 〜シブトクつよく〜
- 1996年 オリコン最高位 2位 作詞:森浩美/作曲・編曲:庄野賢一
21枚目のシングル。
ここでは森くんが脱退した直後、5人体制でのはじめてのアルバム『SMAP 009』のバージョンを9位とします。
卓越したミュージシャン達の極上の演奏とアイドルにあるまじき自堕落な歌詞が聴き所の名曲だと思いますね。
これくらいのズルならいいか
なんてやって すっかりバレて
急にみんなに責められて
なんかやばい状態だね
反省なんか 一応してみせるけど
心の中じゃ 真っ赤な舌を出してさ
歌いだしとかほんとアイドルっぽくないですね。
ワルでもなくってみっともない感じ。
そこが女性ファンだけじゃなくて男の子のファンの共感を呼んだのかもしれないですね。
変に優等生とかアイドルぶっていなくて、素の感じ。
それはそのままこの曲のテーマでもあって、優等生ぶらずに素のまま、「はだかのままが気持ちいい」ということですね。
この曲も10位の「がんばりましょう」に続いてアルバムバージョンの参加メンバーがものすごい豪華なんです。
ドラムはソウルやジャズの名曲で叩いてきたバーナード・パーディ、ジャズ、フュージョンで活躍してきたジョン・パティトゥッチ(ベース)ディーン・ブラウン(ギター)が参加しています。
このようにアルバムとシングルでバックのミュージシャンに違いがあるんですけど、ファンにとってはもっと大きな違いがあるんです。
シングルは森くんを含めた6人で、アルバムは5人で録音されたバージョンなんですね。
このシングル(6人体制)とアルバムバージョン(5人体制)の歌声を比較してですね、個人的には6人の方が合唱の方がなんとなく好きだったりします。
微妙な違いなんですけど。
今回はバックのミュージシャンの演奏のよさを考慮してアルバムバージョンを選びましたが、6人の声の合わさった感じも凄く魅力的なので、森くんの脱退はやっぱり残念でしたね。
キムタクと一緒にメインボーカルをやっていたのも森くんでした。
この2本柱のうち一本を失ったので痛手ですね。
しかしながら今日SMAPとして認識されているのは森くん脱退後の五人ですし、ここからSMAPの伝説的な快進撃が始まります。
8位 胸騒ぎを頼むよ
- 1996年 オリコン最高位2位 作詞:戸沢暢美 / 作曲:寺田一郎 / 編曲:CHOKKAKU / コーラスアレンジ:岩田雅之
20枚目のシングル曲。『SMAP 008 TACOMAX』収録。
SMAPの全員が集まったときの声の良さ、特性が活かされたナンバーだと思います。
アイドルグループってサビで聴けるそれぞれの合唱の声ってありますよね。
AKBとか坂道とかもグループごとにサビの合唱部分はそれぞれ個性がありますね。
同じようにSMAPにも全員の声が集まったときの独特のトーンがあって、それが僕は凄く好きです。
そしてこの「胸騒ぎを頼むよ」はソロパートやデュオパートよりもよりコーラスに重点を置いた楽曲、アレンジのためにSMAPのその独特のハーモニーが存分に楽しめる楽曲になっています。
さてこの曲もこの当時のSMAPの楽曲に特徴的な海外の凄腕ミュージシャンの起用が光る一曲です。
フィリップ・セス(ピアノ)とフィル・ウッズ(アルト・サックス)がシングルバージョン。さらにアルバムバージョンはオマー・ハキム(ドラムス)、ウィル・リー(ベース)、ワー・ワー・ワトソン(ギター)と超豪華ですね。
特筆すべきはフィル・ウッズの中間とエンディングに入っているサックスソロです。
本当に素晴らしいメロディと音色です。
フィル・ウッズはアメリカのジャズミュージシャンで、ポップスにも素晴らしい演奏を残していまして、有名なのですとビリー・ジョエルの「素顔のままで」。
この曲のサックスソロがやはり素晴らしいので是非聴いてみて下さい。
7位 しようよ(Let’s do it)
- 1995年 1位 作詞:森浩美 作曲:Jimmy Johnson 編曲:CHOKKAKU
17枚目のシングルで、7枚目のアルバム『SMAP 007 〜Gold Singer』収録の一曲。
『SMAP 007 〜Gold Singer』というタイトルはいうまでもなくイギリスの諜報員ジェームズ・ボンドが活躍する007シリーズの『007 ゴールドフィンガー』のパロディです。
『SMAP 007 〜Gold Singer』は海外の凄腕ミュージシャンが大活躍する一枚です、うるさがたの音楽ファンにも人気の一枚。
シングルヴァージョンの熱いギターソロも捨てがたいんですけど、今回取り上げたいのはアルバムバージョン。
歌のリズムが普通のポップソングよりもちょっと癖のある面白い曲でこれが一位になったのは興味深い事実ですが。
ファルセット(裏声)を要所要所に取り入れた歌のアレンジもいいですね。
最後にAメロを繰り返しておわるんですけど、そのときに歌と一緒に歌詞と同じ語りが入ったり面白い工夫に溢れてます。
作曲はJimmy Johnsonとありますが、コレは作曲家の馬飼野 康二(まかいの こうじ)さんのペンネーム。
6位 KANSHAして(wah wah version)
- 1995年 オリコン最高位1位 作詞:戸沢暢美 作曲:林田健司 編曲:岩田雅之
この曲もシングルではなくグッとファンキーに仕上がったアルバムバージョンがおすすめです。
参加メンバーはドラムがヴィニー・カリウタ、そしてギターがワー・ワー・ワトソン(本名メルヴィン・レイジン)などなど。
アルバムバージョンのサブタイトル(wah wah version)が指し示す通り、ワーワーワトソンのワウが炸裂するファンキーなアレンジになってますね。
歌詞の内容は女性に対する文句というか、グチというか、感謝してくれよ…みたいなダメ男ソングなんすよね。
今時のOLを斬るみたいな内容です。
SMAPだから許される暴挙ですね笑。
5位 たぶんオーライ
余計な仕事おしつけられて
あんのじょうミスが山積み
そりゃまぁ申し訳ないですけど
Uh Yeah Yeah Yeah
この曲もダメダメな歌詞が極まった一曲。
けど「たぶんオーライ」というそんな曲。
構造としては「がんばりましょう」に似てますね。
Aメロ、Bメロで情け無い日常を描いて、でもサビは前向き、みたいな。
アルバム『007~Gold Singer』から。
このアルバムからの選曲ばっかりじゃないかと思うかも知らないですけど、やっぱりこれ名盤なんですよね。
ドラムはデニス・チェンバース。
所謂デニチェンです。
デニチェンのドラムソロから怒涛のボブ・バーグのサックスソロが聴けるところは鳥肌ものです。
SMAPのポップスと彼らの極上の演奏が同時に楽しめるなんとも贅沢な一曲です。
4位 SHAKE
- 1996年オリコン 最高位1位 作詞:森浩美 / 作曲:小森田実 / 編曲:CHOKKAKU
この前のシングルが森くんが脱退してから初めてのシングル「青いイナズマ」なんですけれども、ここからSMAPの無双状態といいますが、立て続けに凄いヒットシングルを連発して、街のBGMをSMAPがジャックしていくような感覚がありましたね。
そんな彼らの快進撃を決定づける様な曲がこの「SHAKE」なきがします。
「青いイナズマ」がよくも悪くもアイドル的なテイストを残した楽曲だったのに対して、「SHAKE」は週末のうきうきする気分を代弁して盛り上げてくれるような一般的に広くアピールする歌詞の内容だったのも大きいと思います。
明日は休みだ仕事もない
早起きなんかしなくてもいい
キミと昼まで眠れそう
ポケットティッシュを2個もらった
ネオンボードは輝いてる
街は楽しくうたってる
SMAPらしい楽しさが良く現れている代表作にして聴くだけでウキウキしてくる優れたポップソングだと思います。
ドライブとかでも聴きたくなります。
3位 セロリ
- 1997年 オリコン最高位2位 作詞・作曲:山崎まさよし / 編曲:清水信之
山崎まさよしさん作曲のこの曲も大ヒットしました。
打ち込みのドラムとパーカッション、深くエフェクトのかかったキーボード(ギターかもしれないですが)のバッキングでゆったりとしたやわらかなムードの名曲。
この曲は剛くんと吾郎ちゃん、キムタク、それぞれのソロパートがあるんですけれどもやっぱりキムタクが1番歌うまいですね。
結構歌番組の映像とか観てても他の2人は歌いにくそうなんですけどキムタクは難なくこなしてる感じです。
そして慎吾ちゃんの声がアクセントになっていて良いですね。
SMAPらしい外した感覚と大人になってきたSMAPが同時に味わえる端境期の一曲で、この時期しか味わえない魅力があるとおもいます。
2位 ダイナマイト
- 1997年 オリコン最高位3位 作詞:森浩美 / 作曲・編曲:小森田実
五人の魅力が爆発した歌唱、プロモーションビデオがたまらない名曲。
この曲はとにかくプロモーション・ビデオが最高なんです。
街中を走るトレイラーの上で5人が自由に動きながら歌う、それだけのビデオなんですけどみんなめちゃくちゃかっこいいんですよ。
多幸感あふれるそれぞれの自由な振る舞いにいちいちグッときます。
それぞれ別の格好よさ、スター性を兼ね備えた五人が集まっていたSMAPというグループはやはり稀有な存在だったんだなと思わずにはいられない一曲です。
ということで2位という上位にふさわしい曲だと思います。
SMAPにしか歌えないし、SMAPにしか似合わない曲だと思いますね。
しかしこれ意外なことにヒットチャートで1位をとってないんですね。
歌の内容が結構セクシーな内容だからでしょうか。
1位 夜空ノムコウ
- 1998年オリコン最高位1位 作詞:スガシカオ / 作曲:川村結花 編曲:CHOKKAKU
音楽の教科書にも載った名曲が堂々一位です。
この曲でまたSMAPというグループに一つの新しい役割が加わってきた気がします。
それが「らいおんハート」や「世界に一つだけの花」 の歌詞の路線に引き継がれていく、その始まりだと思います。
作詞はスガシカオさん。
作曲は川村結花さんです。
今までのSMAPの曲は現状とか現在の気分とかを歌う歌詞が多かったのですが、この曲は「これまでの人生を振り返って省みてみる」歌詞になっています。
このままどこまでも 日々は続いていくのかなぁ
スガシカオさんといえば結構ネガティブだったり、ダークな歌詞をかかれたりする方ですけど、やはりそういう特徴が出ている詩になっていますね。
歩き出すことさえも いちいちためらうくせに
つまらない常識など つぶせると思ってた
あのころの未来に ぼくらは立っているのかなぁ
全てが思うほど うまくはいかないみたいだ
しかし、それがこの曲の魅力であり、単なる明るいだけのアイドルソングではなくてリアリティがあって共感を呼ぶ所だと思います。
編曲はSMAPの編曲ではおなじみのCHOKKAKUさんで、エレキシタールが奏でるフレーズが印象的です。
途中で入る口笛もにくい演出ですよね。
歳をかさねて成長してきたSMAPがこういう歌を歌い始めたというのも象徴的ですし、ちょっと後ろ向きだったりする点もいままでのSMAPの歌の文脈からしてなんら不自然ではないです。
誰もが口ずさみたくなる名曲とSMAPの魅力が合致した奇跡的な曲だと思っています。
文句なしの1位です。
まとめ
どうだったでしょうか。
このランキングに不満はあると思います。
まず、最大のヒット曲で代表曲の「世界に一つだけの花」がランクインしてないってどういうこと? と思う方もいらっしゃると思います。
もちろん槇原敬之さん作曲のこの曲は名曲だとはおもいますけど、筆者はSMAPの魅力をあますところなく伝えきった曲とはちょっと違うのかなとおもうんですよね。
極端な話、SMAPのかわりに嵐がうたってもよかったんじゃないかと思えるんです。
脚本家の野島伸司さん作詞で「家族」が歌い込まれた大人なラブバラード「らいおんハート」もランクインしていないですね。
キムタクの「get you!」が流行った「青いイナズマ」もありません。
今回無理やり10曲に絞りましたが、SMAP本当にいい曲に恵まれているなと実感しました。
10曲選ぶのはかなりつらかったですね。
また細かく見ることでそれぞれのメンバーの個性の強さや魅力を再発見できたのも良かったです。
皆さんも是非十曲の選出に挑戦してみてください。
SMAPの楽曲は現時点でItuensやSpotifyなどのストリーミングサービス、およびYouTubeの公式音源などがまったくない状況です。
このご時世、音源、映像へのアクセスが、CDやBlu-ray、DVDなどの実体を伴うソフト販売でしかないというのは、非常にもったいないと思います。
公式YouTubeサイトなどの設置を強く求めたいと思います。
解散して皆がバラバラになってしまったこの状況では難しいかもしれませんが…。
本当に勿体ないです。