以前Music magaine誌の邦楽アルバムベスト100という企画を当サイトでも取り上げました。
そのランキングを見て「自分だったコレをいれるなー」とか、「これはもっと順位高いなー」とか考えてたら、いてもたってもいられなくなり、
今回自分でも邦楽アルバムベスト100をやろうと思いたちました。
それから約5ヶ月間…
作業を続けてやっと形になったので、
当サイトでも邦楽アルバムベスト100発表します!
選考基準
選考にあたっていくつか自分でルールを決めたのでまずはルール説明から。
ということで下記の条件に当てはまるものを選出していきました。
1. 1960年代から現在(選考を開始した2019年3月)までに日発表された邦楽アルバム。
2. 編集版、ミニアルバムを含むが、複数のフルアルバムから曲を集めたベスト盤は選考対象外。
3. 1アーティスト3枚までランクイン可。
4. 歴史的背景や影響力もランクの上下に加味されるが、結局はアルバムを聴いて自分がどう感じたかを優先。
1、アルバムという形式が単なる曲の寄せ集めではなく、一つのコンセプトをもった作品たりうる、そういう認識が持たれ始めた時代から現在までを対象
具体的にはフォーク・クルセダーズの名盤『紀元貳阡年』が発表された1968年からですね。
2、ベスト盤は基本選出外
ベスト盤をいれたらベストばっかりになってしまう可能性もありますし、時代性もみえてこないので基本はずしました。
ただし、インディーズ音源を集めたものや、フルアルバムからでなく、ミニアルバムやシングルのみを編集したベスト盤、企画盤はOKにしました。
また、シングル盤は選外ですが、ミニアルバムはアリとしました。
3、 1アーティスト3枚まで
やはり筆者が個人的に好きなアーティストは沢山ランキングにいれたくなります。しかし一つのアーティストが極端にランクインしすぎるとつまらないランキングになってしまうので、1アーティスト3枚までの縛りを設けました。
4、歴史的評価に比重を置きすぎない
日本のポピュラー音楽史でこれは絶対にはずせないという影響力をもったアルバムがいくつか存在します。しかし、そんなものばかりをいれていたら、他のランキングと似通ったものになってしまい、面白くありませんので、極力排しました。
ただその歴史的な影響力と筆者が「良い」と思った部分が重なっていれば全然かまいませんでので、そういうアルバムはランクインしています。
ただ世間、評論家筋の評価が高いからという理由ではランクインさせませんでした。
ですのであたりまえですが、出来上がったランキングになんの権威性もありません。主観の塊です。
上記の理由から本来こういう企画には絶対に入ってしかるべき名盤たちも選外だったりします…。
まぁその批判に対する回答や言い訳は後々詳しくやっていこうかなと思っています。
以上を踏まえて早速紹介していきます。
100位 globe 『globe』1996年

当時絶好調だった小室哲哉が全てをつぎ込み 400万枚以上を売り上げ当時の売り上げ記録を塗り替えたメガヒットデビューアルバム。
いま聴くと時代を感じる音像で音圧も不足している感は否めないですが多幸感溢れる楽曲の瑞々しさは変わらないと思います。
globeは小室哲也とボーカルのKeiko、ラップ担当のMarc Pantherの三人からなるユニット。
いまあらためて聴いてみるとマークのラップってマークのラップって、曲によっては本当に装飾に徹してるところがあって面白いですね。
セルフボースティング (「俺はスゲェ」などと自分自慢をすること)でもないし、パーティラップみたいなただ楽しい感じでもないですし、ひたすら状況説明というか物語の盛り立て役というか。
当然日本のHipHop界隈ではスルーされていたと思いますが、こういう感じのラップのあり方がそれ以降のJ-popにも引用されたりして、そういう影響力はあったんだなと思いました。
あと小室哲哉のコーラスの入れ方ってメロディのクセのせいかも知れないけど気持ち良さ追求したものじゃなくて、独特の変な質感を生み出すようなマニアックなハモり方で面白いです。
おすすめ曲
Aメロの明るいメロディからだんだんとダークになっていくのがくせになる「Joy to the Love」。ポップで弾けるメロディがサイコーな「Sweet Pain」。切なさと楽しさがいい塩梅でミックスされたデビュー曲「Feel Like Dance」。
99位 Hi-STANDARD『MAKING THE ROAD』1999年

ポップでキャッチーで盛り上がる曲がたっぷり詰まったパンクの名盤。
昔は学園祭でハイスタをコピーしてるバンドが1組は必ずいたという、直撃世代にとってはもう青春の一ページを飾った忘れられない一枚。
日本のパンクを語る上ではずせないアンセム「STAY GOLD」収録。
98位 B’z 『RUN』1992年

打ち込みメインの音作りをやめ、ハードロック趣味、バンドサウンドを全開にした一枚。
しなしながら良い意味で歌謡曲的だったりして、なかなかそういうのは洋楽では味わえないですよね。
冷静に考えると結構変なユニットだなと思います。
おすすめは「THE GAMBLER」「さよならなんか言わせない」「Baby, You’re my home」。
3曲ともベスト盤などには入っていませんが隠れた名曲。
ベスト盤常連の「RUN」「ZERO」も収録。名盤。
97位 チャットモンチー『耳鳴り』2006年

徳島出身の3ピースバンドのデビューアルバム。
初めて聴いた時は「凄いバンドが出てきたぞ!」と興奮したのを覚えています。
それぞれの楽器が隙間を埋めるような退屈な演奏をしているのではなく、それぞれの楽器が曲をちゃんと盛り上げようと工夫しているのがいいんですよね。
また全員がなんらかの形で作曲に貢献しており、それがバンドの楽曲に幅と深みを与えているところがポイント高いです。
おすすめ曲
上京したての若者のナイーブな心情をつづり、彼女自身にも重なる「東京ハチミツオーケストラ」。サビの切実さが胸を打つ「さよならGood bye」。
96位 PERSONZ『PERSONZ』1987年

今回のランキングの中で正直一番時代を感じるアルバムかも知れません。
しかし、本田毅のエフェクトがかかりまくったギターが好きだし、勢いのあるこの当時の特有の元気なサウンドと切なさがたまらない一枚。
おすすめ曲
バンドの勢いがいい感じでパックされた名刺代わりのオープニング曲「Midnight Teenage Shuffle」。エンディングのもうひと展開がたまらない「Burnin’ With Love」。
95位 ほぶらきん『ランニングホームラン』1980~81年

コミックバンドともとられるような面白い楽曲がめちゃくちゃなテンションで演奏されているアルバム。
僕はパンクだと思ってます。
アマゾンのレビューでボロックソに酷評されてるアルバム(笑)。
けれど、「こんな曲でもいいんだ」「自由でいいんだ」って思えたし、実際聴いてから筆者もすぐに曲を作り始めました。
「音楽やバンドってこうでなくてはならない」とか「格好つけてないとだめ」とか変なメンタルブロックをぶっ壊してくれる音楽だと思ってます。
94位 りりィ『Dulcimer』1973年

70年代を中心に活躍していたシンガーソングライター。
近年では女優として活躍していましたが、惜しくも2016年に亡くなりました。
ハスキーボイスと情感のこもった歌が魅力です。
おすすめ曲
彼女の代表曲で、1番有名な「心が痛い」。エデンの園追放譚をモチーフに少女の性への目覚めへの葛藤、戸惑いをテーマにした「りんごを食べないで」。りりィの掠れたハスキーボイスが切なさを際立たせる振られ系ラブソング「変型ねつかれなくて」。
93位 LÄ-PPISCH 『LÄ-PPISCH』1987年

2つのバンドが合体してできた実力派集団のデビュー作。
「タンポポ (Toys2)」「パヤパヤ」という二大名曲だけでも聴きどころ十分なアルバムです。
スカとパンクを基調としたカッコよくて楽しい楽曲の宝庫。意外とメッセージ性も強い。
- 「タンポポ (Toys2)」
この曲はLÄ-PPISCHのバンドとしての魅力を理解する上で最適の入門曲かと。
全てのパートがめちゃくちゃ恰好よいですね。
バンドの教科書。
- 「パヤパヤ」
なんとなくモヤモヤする朝はこれ聴いて踊り狂ってから出かけたいですね。
楽しくてカッコよくて踊れてサイコー過ぎ。
92位 The Boom 『Lovibe』2000年

アルバム毎に音楽性をかえ、結構挑戦的なことをやってきた彼ら。
このアルバムはそんな冒険から一息ついてリラックスしたムードで作られた様な一件地味なアルバムですが、やってきた事をコンパクトに落とし込んだ完成度の高いアルバムです。
- 「子供のように」
スティール・パンやボサノバ的リズムなどを導入した南国感のあるさわやかなナンバー。
夏に涼しい部屋でリラックスして大事な人の事考えながら聴いたりしたい曲。
- 「天に昇るような気持ち」
多幸感あふれるラブソング。
こういう曲を書けるって人って意外とすくなくないでしょうか?
- 「I’m in love with you」
シンプルにカッコいいロックなラブソング。
「この街を出て行こう 電話帳の中から抜け出そう」
「神様以外は呼び捨てにしてる」
とか詞も良いですね。
- 「いつもと違う場所で」
シングル曲。
ポエトリーリーディングを全面的に取り入れて作った「手紙」とかでやった実験とか、ソングライティングとか、詩作とか、今までやってきた事を肩の力を抜いてすっと落とし込んだような名曲。
フォークとポエトリーリーディングとの間に位置するような歌が好き。
91位 NUMBER GIRL 『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』1999年

20世紀の最後に、バンドという形態がまだ有効であると言うことを強力に示してくれたバンド。
それ故に功罪は大きく筆者のバンド人生も彼らの呪縛から逃れるのに時間がかかりました…。
彼らの登場からライブハウスにいくつモロに影響を受けたバンドが現れたことか…。
ただライブ盤の『記録シリーズ』やライブ動画とかみてしまうとスタジオ盤がなんだか物足りなく思えてしまって、それで低めの順位になってしまってます…。
アルバムランキングの限界でもあります。
アーティストランキングとかならかなりナンバガ上位だと思います。
ですので「このランキングの並び」=「そのアーティストの好き度合い」かというと全然違ったりします。
- 「透明少女」
疾走感あふれる代表曲。
ZAZEN BOYSと比べるとナンバガの詩は全然練られていない感じはどうしてしてしまうんですけど(ライブでも歌詞を忘れてテキトーに歌われたりもしますし)、その歌詞の独特の表現はここでも健在なんですね。
「はいから狂い」とか「桃色作戦」とか。
要はファッションに夢中で自分達をカワイク魅せたい女の子達を「はいから狂い」とか「桃色作戦」っていうフレーズで表現しているんですけど、これが説明的な文章と「歌詞(詩)」との違いですね。
- 「EIGHT BEATER」
「ああ、夏はあつい」で始まるアルバムラストの楽曲。
冒頭でスネアドラムのスナッピーが共鳴していることからもバンドで一斉に録音していることがわかります。
このライブ感がナンバガのスタジオ盤の魅力なんでしょうね。
逆に言うと緻密な音作りやスタジオワークには積極的ではなかったことにもなります。
そういう曲も聴きたかったですね。
さてこの曲のリズムパターンが結構すきなんですよね。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「シスター・レイ」やソニック・ユースの「サンディ」のパターンです。
不穏な空気をかもし出しつつも攻撃的な雰囲気がでる実に呪術的ビートパターンだと思います。
まとめ
と、駆け足で100位から91位まで紹介していきました。
大体どんな邦楽ロックベスト100などのランキングでも10枚ぐらい選ばれているものを見れば、「ははぁん、こういうスタンスの選盤なのね、じゃあ上位はあのアルバムとか入りそうだな」というのが見えてくると思います。
が、当サイトのランキングはどうでしょうか。
結構節操のないランクに仕上がっているので、まだ見えてこないのではないのではと思っています。
まあ、この時点で1位が予測できたらあなたはスゴイを通り越してもう変態です(笑)。
ということで90位から81位に続きます。