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カバーソングの名曲ベスト10【洋楽編】アーティストはどうやって原曲をよりよいカバーに仕立てているのか?

2019/08/10
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とにかく沢山のカバーソングが溢れている今日この頃。

メジャーなアーティストだけでなく、YouTubeなどでのアマチュアの投稿も含めたら、とんでもない数のカバーソングが世の中に存在していますね。

原曲越えのカバーとは?

いいカバーソングの条件とは?

そんなことも考察しつつ厳選された名カバー曲を10曲セレクトしてみました。

いずれのカバーも原曲に勝るとも劣らない名演ばかりです。

アーティスト達はどうやって原曲を調理しているのでしょうか?

もしあなたが心に響くカバーをしてみたいと思うのなら何かヒントが見つかるかもしれません。

今回は洋楽編です。それではどうぞ!




①ヴァン・ヘイレン「ユー・リアリー・ガット・ミー」(Van Halen “You Really Got Me”)

  • 原曲:ザ・キンクス (The Kinks)

まずは80年代のアメリカンハードロックを代表するバンド、ヴァン・ヘイレンによるキンクスのカバー。

キンクスは60年代にイギリスから登場し、この「ユー・リアリー・ガット・ミー」でハードロック、へビィメタルの下地となる激しいギターサウンドをいち早く実現しました。


当サイトのギターソロベスト10でも本曲を取り上げましたね。

そんなロックの殿堂入りの名曲を、果敢に新人バンドがカバーしデビュー曲として発表したのが、このカバーバージョン。


ブラッシングや細かいカッティングが入れることで、原曲のリフを高速&凶悪化させてます。

圧巻のギターソロも含め当時ものすごいインパクトだったはずです。

原曲へのリスペクト感ゼロで知性のかけらも感じられないふざけきったPVも逆にカッコいいですね(笑)。

最初両方比べて聴いてみたときはヴァン・ヘイレンのアップデートされた激しさに打ちのめされ、キンクスのオリジナルは物足りないなと思いました。

ところがキンクスのオリジナルの荒々しさはやはり唯一無二でして、甲乙つけがたいですね。

さてこのカバーと原曲を比べてみて面白いのは、歌詞は一緒なのに聞こえ方がまるで違う所です。

内容は端的に言ってしまうと、主人公はとある女の子に夢中になっているという話。

You got meというは「参った」「やられたー」などのニュアンスの言い回しです。

男女の関係では「君に参ってる」というような感じでしょうか。

キンクスのバージョンでは、主人公はどことなくモテてない感じがあります。そんな青春のモヤモヤがリビドーとしてあふれだしたのが、あの入魂のギターソロに聞こえます。

いっぽう、ヴァン・ヘイレンバージョンのふざけきったボーカルからはある種の余裕とふしだらな感じがあります。

完全にスケコマシのそれですね。

原曲の非モテ感が一掃されてます(笑)。

両者ともロックの古典的な名演ですので、優劣つけがたい、必聴の素晴らしい2曲です。

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② レッド・ホット・チリ・ペッパーズ「ハイヤー・グラウンド」(Red Hot Chili Peppers “Higher Ground”)

  • 原曲:スティーヴィー・ワンダー (Stevie Wonder)

このレッチリのカバーは冒頭のベースリフで有名ですね。

実際楽器屋でよく聴くベースラインだったりします(笑)。

スティーヴィー・ワンダーの原曲をファンキーさはそのままに、さらにメタルやパンクの要素を加えて、より攻撃的に仕上げています。

レッチリの楽曲がミクスチャーロックといわれる所以ですね。

原曲はスティーヴィーの代表的なアルバムの一つ『インナーヴィジョンズ』(Innervisions 1973年発表) から。

この時期のレッチリは、メンバーの死と脱退によって新たなメンバーが加入したばかり。

ギターにジョン・フルシアンテ、ドラムにチャド・スミスが加わり、今でもレッチリのベストメンバーと呼ばれるラインナップで再始動したころでした。

そのメンバーで始めて出したのが『母乳』(Mother’s Milk 1989年発表)というアルバム。

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『母乳』にはジミヘンのカバー「ファイア」(Fire) も収録されています。

前作までと次作以降の良い所がミックスされた過渡期的なこの頃のレッチリが、個人的には1番スリリングで好きだったりします。

③ザ・バーズ「マイ・バック・ペイジズ」(The Byrds “My Back Pages”)

  • 原曲:ボブ・ディラン (Bob Dylan)

原曲をドリーミーに仕上げることに関して右に出るもののないバンド。

それがザ・バーズではないでしょうか。

恐らく一番有名なのはボブ・ディランのカバー曲にして彼らのデビュー曲、「ミスター・タンブリン・マン」(Mr. Tambourine Man) です。

他にもキャロル・キング (Carole King) の名曲「ゴーイング・バック」(Going Back 超オススメです!)や伝説のフォークシンガー、ピート・シガー (Pete Seeger) の名曲「ターン・ターン・ターン」(Turn! Turn! Turn!)など名カバー多数です。

が、今回ご紹介したいのはデビュー曲と同じくボブ・ディランのカバー曲「マイ・バック・ペイジズ」(My Back Pages)です。そう、何を隠そうこのサイト名はこのから命名されました!

まずはディランの原曲を聴いてみてください。


シンプルなギターの弾き語り。

そして三拍子の曲ですね。

そしてこちらがバーズのバージョン。


違いは一目瞭然ですね。

まず当然楽器の編成が違います。

バンド編成です。

注意深く歌詞まで聴いたかたは気づかれたかもしれませんが、歌詞も原曲からだいぶ省略されています。

そしてもっとも大きな違いは、

原曲が三拍子だったのに対し、このカバーは四拍子に、もっといえば普通のロック的なエイトビートになっている所です。

これは大胆な変更です。

そしてサビともいえる印象的な一説、

I was so much older then, I’m younger than that now.

僕はその時大分歳をとっていた、いまはその時より若い(筆者訳出)。

の部分はバーズの美しいコーラスによって彩られて強調されています。

シンプルなアコースティックギターによる弾き語りの原曲を

  • 原曲の拍子を変える。
  • 原作の歌詞を省略してしまう。
  • バンド編成でやる

という手法で、よりコンパクトでポップ、夢の様に美しい楽曲に仕上げています。

もちろん原曲のよさがあって成り立つことです。

しかし、彼ら独自の味付けによって原曲の美しいメロディを引き立たせ魅力的なポップソングとして聴かせる手法は、見事としか言いようがありません。

これぞ優れたカバーソングのお手本のような曲ですね。

ボブ・ディランの入門としてもバーズは最適だと思います。

実際筆者もバーズのカバーによってディランのソングライターとしてもメロディの美しさに開眼し、彼の作品にのめり込んでいった口です。

ディランのカバー曲だけを収録したこんな編集版も出ていますね。

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④ジプシー・キングス「マイ・ウェイ」(Gipsy Kings “A Mi Manera”)

  • 原曲:フランク・シナトラ  (Frank Sinatra)

「マイ・ウェイ」は20世紀を代表する名曲といって差し支えないほど有名なポピュラーソング。

もともとはフランス語の曲でしたが、ポール・アンカが英語詩をつけ、それをフランク・シナトラが歌ったところ1969年に大ヒット。

以後数多くのアーティスト達がカバーバージョンを発表してきました。

そんな「マイ・ウェイ」の中でも筆者がベストと呼びたいのがこちら、ジプシー・キングスによる「マイ・ウェイ」です。

ジプシー・キングスは80年代後半にヒットを飛ばしたフランスのバンドです。

活躍の場はフランスでしたが歌はスペイン語です。

フラメンコをベースにした、ルンバ・フラメンカというスタイルの音楽をやってました。

日本ですと「バンボレオ」という曲の空耳で有名ですね。

「あんたがた ほれ見やぁ 車ないか・・・ こりゃ まずいよなぁ・・・」とう強烈な空耳ですね。

歌の入りの部分が確かにそう聞こえます。

さて、脱線はこのぐらいにして、肝心の「マイ・ウェイ」にいきましょう。

まずは原曲から。

オーケストラによる盛り上げ方といい、たっぷりと情感を込めるやや大げさな歌唱といい、良くも悪くも昔の曲!って言う風格と雰囲気がありますよね。

ではカバー行きましょう。


どうでしょうか。

原曲よりもずっとアレンジは素朴ですよね、歌とギターとパーカッションと。

しかしなんでしょうね、この盛り上がりと感動は。

スパニッシュギターの響きとスペイン語でしか表すことのできない温かみ、人生の重みがあるような気がします。

こちらのバージョンのほうが市井の人々の人生に寄り添った「マイ・ウェイ」な感じがしますね。

あとはその盛り上げかたですね。

このカバーでは盛り上がりに対して曲のスピードが自然とアップしていくのもいいです。

実はあの喜劇王チャップリンが彼らのこのカバーを聴いて涙したというエピソードがあります。

そのぐらい説得力のある演奏だと思います。

余談ですがシドヴィシャスのカバーも秀逸ですので、ついでにどうぞ。


こちらはマーティン・スコセッシ監督の『グッドフェローズ』のエンディングでも使われていましたね。

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⑤ザ・クラッシュ「アイ・フォート・ザ・ロウ」(The Clash “I Fought the Law”)

原曲:ザ・クリケッツ (The Crickets)

パンクという音楽ジャンルを代表するバンド、ザ・クラッシュの代表的なカバーソング。

「ブランニュー・キャデラック」“Brand new Cadillac”「ポリス・オン・マイ・バッグ」“Police on my back”などクラッシュも実は名カバーが多いです。

今回紹介したいのは、ザ・クリケッツの1959年の曲で今ではすっかりクラッシュの代表曲として定着した「アイ・フォート・ザ・ロウ」 。

「俺は法と戦った」という意味です。

クリケッツはバディー・ホリーが在籍していたバンドとして有名です。

この曲は彼が飛行機事故で亡くなったあとで加入した、ソニー・カーティスが作った曲ですね。

原曲は一人の歌唱ですが、カバーのほうはコーラスや手拍子を入れてより盛り上げてます。

イントロの印象的な原曲のアレンジを生かしつつ、一工夫してもっと良いものにする手腕は見事ですよね。

パンクというと余計な装飾を排した、シンプルな音楽性を思い浮かべる方が多いかと思います。

しかし、クラッシュのバンドとしての魅力は実は多彩な音楽性でして、それはメンバー個々の能力の高さに寄るところが多いんですね。

今回のこのカバーも各メンバーの聴き所が満載です。

今回クラッシュの一連のカバー曲を原曲と比べながら聴いてみたのですが、自分たちにフィットしている曲を選んでくるのがうまいですね。

だからまるでオリジナル曲のように響くのでしょうね。

あとはただカバーするだけじゃなくて原曲をリスペクトしつつも、「よりダイナミックで強力なものにしてやろう」という気概や意地のようなものが伝わってきます。

そのカバーに対する姿勢、方法はアマチュアの方でも十分参考になるんではないでしょうか。



⑥ニルヴァーナ「ラブ・バズ」(Nirvana “Love Buzz”)

  • 原曲:ショッキング・ブルー (Shocking Blue)

ニルヴァーナはもはや説明不要ほど有名な、90年代を代表するロックバンド。

ですがオリジナルだけでなく、素晴らしいカバーソングも多く残しています。

おそらく、もっとも有名なものはMTVのアコースティックライブ企画アルバム『MTVアンプラグド』に収められた、デヴィッド・ボウイの「世界を売った男」(“The Man Who Sold The World”)のカバーでしょう。

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また同アルバムにはレッド・ベリーの「ホェア・ディド・ユー・スリープ・ラスト・ナイト」(Where Did You Sleep Last Night?) も収められています。

どちらも割と原曲の雰囲気を崩さないアレンジですが、その分かえってカート・コベインのボーカリストとしての魅力を十二分に伝えてくれるものになっています。

ですが今回とくにオススメとしてご紹介したいのは彼らの1stアルバム『ブリーチ』(Bleach) に収められいる、ショッキング・ブルー (Shocking Blue) のカバー曲「ラヴ・バズ」(“Love Buzz”) です。

ショッキング・ブルーは60年代後半から70年代前半に活躍したオランダ出身のバンドで、「ヴィーナス」(“Venus”) という曲で世界的なヒットを飛ばしたことで有名です。

この「ヴィーナス」ですが、86年にはバハマラマ(Bananarama)によるカバーも大ヒットしました。

さて、肝心の「ラヴ・バズ」に話を戻しましょう。

まずは原曲。

お次はカバー。

どうでしょうか。

原曲の妖しい雰囲気はそのままで、更に攻撃性とポップさを追加した見事な原曲超えカバーですよね。

原曲リフに手を加えたクリス・ノヴォセリックのベースリフが曲を引っ張り、それにカートのメタルからも影響を受けたギタープレイが絡みます。

カートのシンガーとしての才能とバンドのシンプルでポップで攻撃的でもある編曲能力の高さの証明となる一曲といっても過言ではないでしょう。

⑦「サバス・ブラッディ・サバス」(The Cardigans “Sabbath Bloody Sabbath”)

  • 原曲:ブラック・サバス (Black Sabbath)

これはまずブラック・サバスの原曲を聴いていただきましょう。

これが、一世を風靡したスウェディッシュ・ポップバンドが味付けしたら…

こうなります(笑)。

全然違いますね。

アレンジの重要性というか、アレンジ次第で曲はこうも変わるのか、という事がわかる、いいサンプルです。

原曲はメタル、ハードロックの最初期の名曲ですね。

こうして聴いてみると原曲に隠された意外なポップさが見えてきます。

こんなポップでおしゃれなバンドがどうしてこんなメタルの曲を? と多くの人が当時ぶっとんだはずです。

冷静に考えればミュージシャンに様々な音楽的背景があるのはおかしくなく、むしろあってしかるべきですが…。

あとはスウェーデンという彼らの出自からもこのカバーは説明できますね。

結構有名な話ですが、スウェーデンはヘビーメタルが盛んな国でもあります。

ヒットチャートに普通のポップとメタルが混在しているようなヒットチャートだったりするんですね。

ですのである意味このカバーもそんなお国柄を体現していると言えます。



⑧ダイナソーJr.「ジャスト・ライク・ヘヴン」(Dinosaur Jr “Just Like Heaven”)

  • 原曲:ザ・キュアー (The Cure)

このカバーもカーディガンズと似ていて、ダイナソーJr.流の解釈が存分に楽しめる曲です。

まずは原曲を聴いていただきましょう。

これはもう80年代を代表する名曲ですね。

もとがいいので下手なことしなければいいカバーにはなるかと思いますが、なかなか原曲に肉薄するような素晴らしいカバーは難しいんじゃないかって気がします。

というのもこのイントロが肝で、最初ドラムとベースで始まって、そこからシンセが入り、ギターフレーズが入るって流れ、これ自体がもう曲と分かちがたいものになっています。

で、ここをコピーしちゃうとなんかもう個性とか出しにくいわけです。

ではそれを踏まえてダイナソーバージョン行ってみましょう。

どうでしょうか(笑)。

なんか変ですよね。

イントロのギターフレーズはヘナヘナになってますし、サビ部分には狂ったシャウトが入ってます。

終わり方も突然ぶち切れるから、レコードやCDなら、「あれっ、音とびかな」って思うような、最低で最高の終わり方(笑)。

かといって原曲の雰囲気を破壊しているわけではまったくなくて、ロマンチックな部分、切なさのようなものはちゃんと残っているんですよね。

歌はギターのJ・マスキスが担当してるんですけど、声の特徴もあってこういう切ない歌い方がスゴイうまいんですよ。

ですので、一粒で二度おいしいみたいな笑いと切なさが同居するなんとも奇妙な味わいになっています。

こういうカバーソングもあるんだと目からうろこでした。

⑨ジョニー・キャッシュ「ハート」(Johnny Cash “Hurt”)

  • 原曲:ナイン・インチ・ネイルズ (Nine Inch Nails)

カバーソング特集で取り上げなければならないアーティストというものが存在するならば、ジョニー・キャッシュこそ、その一人でしょう。

ジョニー・キャッシュは50年代後半から60年代に活躍したフォーク/カントリーシンガーですが、70年代以降はそれほど輝かしいキャリアではありませんでした。

ところが、RUN DMCなどのヒップホップ、スレイヤーなどのスラッシュメタルのプロデュースで知られる、リック・ルービンというプロデューサーとタッグを組んだ90年代から第二の全盛期が始まります。

1994年発表の『アメリカン・レコーディングス』(American Recordings) から彼の第2の全盛期が始まります。

このアメリカンレコーディングシリーズは最終的に6作続き、この時期に意外な選曲と彼の貫禄と凄みで、優れたカバー曲を連発しました。

そんな一連のカバー曲にはU2の「ワン」、デペッシュモードの「パーソナル・ジーザス」などの名演がありますが今回取り上げたいのがナイン・インチ・ネイルズ原曲の「ハート」(Hurt)。

NINの代表作でもあるセカンドアルバム『ザ・ダウンワード・スパイラル』(The Downward Spiral 1994年発表) から。

原曲もノイズなどの装飾を除けば割とシンプルなアレンジですね。

それではカバーを。

迫力と凄みで原曲をねじ伏せるようなカバーですよね。

途中で明らかに録音のレベルが大きすぎて音がわれちゃってるところがあります。

普通はこれ録り直しになるかと思うんですけど、リック・ルービンは良しとしたんでしょうね。

むしろそれが「いい」とおもったのだと思います。

やっぱり「激しい曲」ってなると若さと勢いって凄く大事で、そういう意味では若いアーティストのほうが断然「激しさ」では有利なはずです。

しかし、この曲はどうでしょうか。

長年の人生の経験や貫禄をすべてぶつけ、「若さ」を凌駕するような、とてもへビィな作品に仕上がっています。



⑩ジェフ・バックリー「ハレルヤ」(Jeff Buckley “Hallelujah”)

  • 原曲:レナード・コーエン (Leonard Cohen)

今回の特集でもし一曲だけ選べ、と無茶な事を言われたら。

もちろん他の曲も捨てがたいんですが、この曲を選ぶでしょう。

それぐらいのカバー。

というわけで最後はこの時代を超える名曲の名演でしめたいと思っています。

まずは原曲のレナード・コーエンバージョンから。

うーん素晴らしい曲ですね。

詳しく歌詞の内容まで紹介するスペースと筆者の力量が足りないためここでは説明しませんが、レナード・コーエンはそのキャリアを詩人として出発させたこともあり、歌詞も秀逸です。

しかし、ボーカルや曲自体に無駄に深いエコーがかかっていたりして時代を感じさせるアレンジや音作りがやや残念ではあります。

いや、この感想も、もしからしたらジェフ・バックリーの演奏を聴いていなかったら出てこなかった不満かもしれません。

ハードルがかなりあがったところで問題のジェフ・バックリーのカバーバージョンを。なるべく静かなところでそれなりに大きな音で聴いてもらいたいですね。

PV

アルバムバージョン(PVとちょっと違います)

どうでしたでしょうか。

なにか別の空間につれていかれるような、彼の作り出した世界に引き込まれるような、そんな歌と演奏です。

これはザ・バーズのカバーの逆パターンですね。

バーズが弾き語りの原曲にバンドアレンジを施したのと対照的に、こちらは装飾をそぎ落として原曲の核となるようなもっとも美しい部分だけを提示して見せたようなアレンジ。

完全にジェフ・バックリーの澄んだトーンの美しいギターと声だけの演奏です。

これは原曲を完全にものにしたといっても過言ではないというか、やや大げさかも知れませんが、この曲はこうなるべくして生まれたというか、そんな決定的なものを感じます。

こういうのを聴いてしまうと、ギター一本と歌だけで、これだけ深遠な世界を表現できるなら、バンド編成とかもういらないなっておもえてしまいます。

この曲はジェフ・バックリーのデビューアルバム『グレース』に収められました。

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同アルバムにはニーナ・シモンの歌唱で知られている「ライラック・ワイン」という曲のカバーも収められています。

こちらもオススメの曲ですね。

残念ながらジェフ・バックリーは本作発表後、水難事故で亡くなってしまいます。

しかしこの「ハレルヤ」の名演と『グレース』という優れたデビューアルバムのおかげで彼の残した音はずっと聴き続けられるでしょう。



まとめ~原曲を超えたよいカバー曲はどのように生み出されるのか~

10曲紹介しましたが、カバーにも様々はやり方がありましたね。

  • シンプルな原曲に現代的なアレンジを加える。
  • アレンジされた原曲の装飾をそぎ落として曲自体のもつ力をシンガーの表現力で見せ付ける。
  • 原曲をすこしだけ調理してグッといいものにする。

いろいろ定義はあるかとおもいますが、優れたカバーソングというのは、

原曲の持つほかの可能性を提示したり、作者すら意図していなかった曲の可能性を提示しているもの

だと思います。

今回曲を絞り込む過程で、そういった新たな気づきをもたらしてくれるカバー曲だけが最後に残りました。

もちろんこのアーティストがこの曲歌ったらこうなるんだ!っていうシンプルに楽しいカバーも魅力的ですけど。

冒頭でも書きましたが、世の中カバーソングにあふれています。

きっとあなたが選ぶとまた違う10曲のリストが出来上がると思います。

是非チャレンジしてみてください。

今回カバーソングに興味をもたれた方はこの記事もおすすめです。

シンディ・ローパー、ソロデビュー作にて80’sポップの名盤『シーズ・ソー・アンユージュアル』

シンディー・ローパーこそカバーソング特集にて取り上げられるべきアーティストの一人だと強くおもいます。

本記事でも取り上げようかと迷いましたが、上のリンク先で詳しく述べてますので今回の特集からは泣く泣くはずしました。

興味がありましたら是非!

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