ちょっと前にアメリカのRolling Stone誌がギターソロに関する下記のような記事を投稿し話題になりました。
こんな記事が出るぐらい昨今ではギターソロが珍しいものになってきました。
皆さんギターソロは好きでしょうか。
もちろん好きだぜ!という方にも、
あんまり聴いたことないや、ギターソロなんて過去の遺物でしょ?
という方にも、もちろんギタリストの方にも向けて、
ギターソロに魅力を感じていただけるような、オススメのギターソロベスト10をお送りしたいと思います。
1. ロック最強の一曲のギターソロ
- レッド・ツェッペリン「胸いっぱいの愛を」Led Zeppelin “Whole lotta love”
- ギタリスト:ジミー・ペイジ
まずは王道、といったところでしょうか。
伝説的ロックバンド、レッド・ツェッペリンのセカンドアルバム『レッド・ツェッペリンII』からのオープニング曲。
まずはジミー・ペイジのリフがあって、そこから古いブルースの曲を下敷きにして曲が作られました。
ギターソロの前に長いサイケデリックな間奏部分が入ります。もうここでパワーをためてるような感じです。そこでドラムが入って、一気にギターソロに流れ込んでいくこの流れは本当に鳥肌モノです。
筆者も中学生のとき、ここだけ何度も音量をでかくして聴いてました。完璧なロックギターソロだとおもいます。
2. 変化球的、機械的な変態ギターソロ
- トーキング・ヘッズ「ボーン・アンダー・パンチズ」Talking Heads “Born Under Punches (The Heat Goes On)”
- ギタリスト:エイドリアン・ブリュー
次はやや変化球的なギターソロです。
アメリカのニューウェイブ、ポストパンクバンド、トーキング・ヘッズの4枚目のアルバム『リメイン・イン・ライト』(Remain in Light)のオープニングトラック。
アフリカンミュージックの影響を下敷きとしたトーキング・ヘッズ流ファンク。
肝心のソロですが、コンピューターの打ち込みにも聞こえるピコピコしたサウンドで衝撃をうけました。どうやってこのサウンドを作っているのか検討もつきません。
このソロを弾いているエイドリアン・ブリューはトーキング・ヘッズの正式なメンバーではありませんが、このアルバムが出た当時のツアーで重要な役割を果たしています。
エイドリアン・ブリューのこのギターが気に入ったのでしたら、次はキング・クリムゾンの『ディシプリン』というアルバムをオススメします。
3. ゴージャスでメタリックで暴力的なギターソロ
- イエス「ロンリー・ハート」Yes “Owner Of A Lonely Heart”
- ギタリスト:トレヴァー・ラビン
イギリスのプログレッシブロックバンド、イエスの80年代のヒット曲。
70年代にはそれぞれの楽器の腕前を最大限に活かした長尺な楽曲で一世を風靡した彼らですが、この曲はシンプルな構成でコンパクトにまとまっています。
イエスの唯一の全米チャートNo.1のヒット曲でもあります。
肝心のギターソロですが、ハーモナイザーというギターエフェクターを使って加工されたゴージャスでメタリックで暴力的なサウンドが特徴的です。
4. 名ギターソロとして定番の一曲
- ピンク・フロイド「タイム」Pink Floyd "Time"
- ギタリスト:デヴィッド・ギルモア
これも王道ですね。イギリスのプログレッシブ・バンド、ピンク・フロイドの大ヒットアルバム『狂気』からの一曲。
アルバム、『炎』を取り上げた時にも書きましたが、デヴィッド・ギルモアは超人的なテクニックをもつギタリストではありません。
しかし、トーンとギターソロのストーリー性というか、構成力が飛びぬけています。
この曲のテーマは「時間」です。
過去になんにもしてこずに、時間だけが過ぎてしまった、と嘆く人が主人公になっています。
その嘆きがよくあらわされているソロだと思います。
他にオススメのギターソロは同作収録の「マネー」”Money”と『炎』収録の「葉巻はいかが?」”Have a Cigar”です。
5. シンプルだが熱い想いが伝わってくるギターソロ
- U2「ニュー・イヤーズ・デイ」U2 “NEW YEAR’S DAY”
- ギタリスト:ジ・エッジ
この曲はポーランド民主化運動のことを歌った政治的な曲。
ピアノの印象的なフレーズに導かれて、ギターソロは2分58秒頃から始まります。
難しいこと、なんにもやってない。長めの単音で構成された、非常にシンプルなソロ。
初心者でも練習すればすぐできそうなぐらい。しかし何でしょうね。曲の内容を如実に伝える、雄弁な熱のこもったソロです。
弾きまくるだけがギターソロではないし、たくさん弾くことだけが伝えることではないということを雄弁に語ってくれるソロですね。
シンプルだけど印象的で効果的なソロといえば他に思いつくのはビートルズの「ひとりぼっちのあいつ」”Nowhere Man”でしょうか。
そちらもおススメです。
6. テクじゃない、激情、熱量、殺気を帯びた長尺ギターソロ
- ニール・ヤング&クレイジー・ホース「ダウン・バイ・ザ・リバー」 Neil Young & Crazy Horse “Down by the River” (1969)
- ギタリスト:ニール・ヤング、ダニー・ウィッテン
カナダ出身のシンガーソングライター、ニールヤングのソロ2作目『ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース』 (原題:Everybody Knows This Is Nowhere)から。
ニールが39度の高熱のなか朦朧としながら書いた1曲。
歌詞は恋人を撃ち殺した男の話です。
なんとも物騒な歌詞ですが、歌自体は割と穏やかに歌われます。
その代わりこのギターソロが雄弁にかたります。
何分にも及ぶ長尺なギターソロが展開されるのですが、特に難しいことはやっていません。
いたってシンプルな演奏、テクニックしか使われていないのです。にもかかわらず、この激情、熱量、殺気のようなものは何でしょう。
ニールヤングのギターソロはシンプルなものが多いですが、その熱量、雄弁さはどのギタリストにも負けないものがあります。そして独特のリズム、グルーヴがあります。
テクニックがすべてと考えるギタリストには到底追いつけない境地がここにあるのです。
「自分にはテクニックがないからいいギターソロは弾けない」と思っているギタリストにこそ聴いてもらいたいです。
7. アコースティックギターによる華麗でウキウキするようなギターソロ
- アズテック・カメラ「オブリヴィアス」Aztec Camera "Oblivious" (1983)
- ギタリスト:ロディ・フレイム
スコットランド、グラスゴー出身のシンガーソングライター、ロディ・フレイムのほぼソロプロジェクトなアズテック・カメラ。
そのデビューアルバム『ハイ・ランド・ハード・レイン』の一発目の曲。
ダークなAメロと、明るいサビが特徴的のアップテンポなポップチューン。
「思い出のサニービート」という邦題がついていました。
歌詞の内容には全然あっていませんが、音だけ聴くとそんな感じもしなくもなく、不思議と否定しづらい邦題ですね。
音楽的にはネオ・アコースティックというジャンルに分類されます。
問題のギターソロですが、1分48秒ごろから始まります。アコースティックギターによるソロはひとつの音を延々と弾きつづけるフレーズから始まります。
しかし、決して単調ではありません。
そこにはグルーヴがあり、感情がこもっています。
その後のスパニッシュギターっぽい展開も見事です。
勢いと情熱、憤りと若さ、この曲の詩世界から想起されるすべての感情がこもったような熱いギターソロです。
この曲を発表したときロディはまだ十代でした。
8. ワウがカッコいい、弾きまくりギターソロ
- シカゴ「長い夜」Chicago "25 or 6 to 4"
- ギタリスト:テリー・キャス
邦題は「長い夜」ですが、松山千春の同名曲とは何の関係もありません。
シカゴはブラスロックと言われるような、ホーンセクションをフィーチャーしたロックを強みとしていたバンドです。
80年代にサウンドの大幅な方向転換を行い、別のバンドみたいになってしまいましたが。
曲名ですが、「4時25分か、26分前」という意味です。
この曲のギターリフはシンプルだけど格好いいですね。これをゆっくり弾いたら、グリーンデイのBrain Stew という曲になります。
ギターソロですが、弾きまくりの火がついたような演奏ですね。
途中からワウペダルのエフェクトがかかってきますが、この感じがなんとも格好いいです。
9. ロックとはなんぞや、これだ! 若さあふれるギターソロ
- ザ・キンクス「ユー・リアリー・ガット・ミー」The Kinks "You Really Got Me"
- ギタリスト:デイヴ・デイヴィス
ロックとはなんぞや。
そう聞かれたら黙ってこれを聴いてもらう。
そんなロックのなんたるかが全て詰まったような曲。
荒々しい歪んだギターリフ。それに絡むリズム隊。知性が感じられない、いやらしい歌い方(褒め言葉)。
そして激情のギターソロ。
いまのようにアンプやエフェクターで歪をつくりだすことが出来なかった時代だったので、この荒々しいサウンドはギターアンプをナイフで傷つけることによって作り出されています。
当時誰よりも激しいサウンドを奏でていたのがこのキンクスだとおもいます。
主人公のやるせないおもい、性的衝動と青春のほとばしりが溢れ出たアグレッシブで破壊的なギターソロ。
10. ベストオブギターソロと名高い大名曲
- イーグルス「ホテル・カリフォルニア」The Eagles “Hotel California”
- ギタリスト:ドン・フェルダー、ジョー・ウォルシュ
最後はこれもまた王道ですみません、って感じですが、これを外したくもありません。
アメリカを代表するロックバンド、イーグルスの代表曲。
ベストギターソロの投票で1位になることもしばしばある名演です。
イントロのギターや歌のメロディ、エンディングの熱いギターソロまでドンフェルダーが中心になって書かれました。
歌詞はドラマー兼ボーカルのドン・ヘンリーによるものです。
まとめ
今回まとめてみた過程で自分にとって良いと思えるギターソロの価値判断は、その楽曲自体をいかに上手く要約しているか、歌詞では伝えきれない曲自体のメッセージをいかに伝えきっているか、以上2点だとおもいました。
それからやはり情熱的というか熱量のあるギターソロが好みですね。
ギターソロはそもそもそういったものですが、テクニック偏重のギターソロには情緒が欠けていることが多々あります。
テクニックがまるでないのがいいとはもちろん言いませんが、少なくとも自分の好みとしては、情緒>テクニック、であるとの再認識がありました。
とはいえ、バカテクも好きですので、そのうちバカテクギターソロ10選もやってみたいとおもいます。