ピンク・フロイド『炎〜あなたがここにいてほしい』大ヒットアルバムの後のプレッシャーをはねのけた傑作。

曲をつくったり、文章を書いたり、何か表現活動をしている人なら一度は、「何も出てこない」「何も思い浮かばない」そんなスランプに陥って苦しんだことがあるきがします。

実はピンク・フロイド (Pink Floyd) も大ヒットした『狂気』(原題:The Dark Side of the Moon)の成功のあとでスランプに陥ってしまったんですね。

ということで「何も歌うべきことがない」「表現すべきことがない」「歌うべきことはやりつくしてしまった」そんな大きな壁を乗り越えて作られたアルバム、ピンク・フロイドの9枚目のアルバム『炎〜あなたがここにいてほしい』(原題:Wish you were hereを紹介したいと思います。

前作の大成功のプレッシャーをどう乗り越えたか、

そして出来上がったものはどんなすばらしいアルバムだったのか。

存分に語っていきたいとおもいます。



1.『炎〜あなたがここにいてほしい』とは

九つのパートに別れ、パート1から5までがアルバムの最初に収録され、残りの6から9までがアルバムの最後に収められています。

本作はこの曲に挟まれるようにしてなりたっています。

『ジョジョの奇妙な冒険』が好きならピンときかたもしれません。

そう、第四部に出てくるクレイジーダイアモンドという能力の名前の由来はこれが元ネタです。


実はピンク・フロイドは最初から前述の4人のメンバーだったわけではなく、最初はデヴィッド・ギルモアは加入しておらず、シド・バレットというメインのソングライター、ボーカルでギタリストだった人物がいたんですね。

しかし、シドはドラッグに溺れ、精神を病み、ピンク・フロイドとしての活動は困難になっていきました。

クレイジー・ダイヤモンドとはシドのことであり、この曲はシドにささげられました。

タイトルのShine On You Crazy Diamondの頭文字をとるとSYD(シド)になるようになっています。

本曲で有名なのは3分54秒ぐらいから始まるギターのイントロのフレーズです。

単純なフレーズですが音の響きが非常にここちよく、ついギターで弾いてみたくなります。

このギターフレーズですが、大きなスタジオで反響を利用して録音されました。

いまならエフェクターやコンピューターの力で簡単に再現できる音かもしれません。

そう、ピンク・フロイドは音響や音像にとことんこだわったバンドでもあったんですね。

それが今日まで聴き続けられるひとつの要因だとおもいます。

曲としての仕上がり、質感を非常に重視した。

結果耐久性の高い作品を生み出すことができているのです。

「ようこそマシーンへ」(Welcome To The Machine)

前述の通り、ミュージックビジネスについての歌。前半は自伝的な内容になってます。

生活に退屈して、学校に息苦しさを感じた少年がギターを手に取る。

ロックスターを夢見てミュージック・ビジネスへの第一歩を踏み出す。

Machineというのは音楽業界のシステムそのものでしょう。

しかし学校や家庭というシステムの退屈さから抜け出したのに、その受け入れ先はやはり別のシステムでしかないという皮肉です。

「葉巻はいかが?」(Have a Cigar)

本作の個人的なベストトラックですね。

ボーカルはイギリスのフォークミュージシャン、ロイ・ハーパー

レッド・ツェッペリンのファンならピンとくるかもしれません。

そう「ハッツ・オフ・トゥ・ロイ・ハーパー」のあのロイ・ハーパーです。

最初は作曲者のロジャー・ウォーターズが歌う予定だったのですが、どうもしっくりこず、デヴィッド・ギルモアに頼むも、彼が歌詞をあまり気に入らず、歌いたがらなかっため、同じくアビー・ロード・スタジオで収録していたロイ・ハーパーが歌うことになりました。

皮肉たっぷりのサーカスティックな歌い方がいいんですよね。

作曲者のロジャーはそれがあんまり今でも気に入っておらず後悔しているみたいですが。

内容は「ようこそマシーンへ」に引き続き、音楽産業の話。

レコード会社の重役が、話しかけてきているという面白い形式をとっています。

邦題は「葉巻はいかが?」とやや丁寧な口調だけど、まぁ内容を加味して訳すなら「まぁ君、葉巻でもやりたまへ」みたいな感じでしょうか。

散々バンドをほめ散らかしておいて

「ところでPinkっていうのはいったい、どいつなんだい?」(Oh, by the way, which one’s Pink?)

と聞いてきます。

つまり自分たち(ピンク・フロイド)のことなんてまったくわからずに金儲けの道具としてただおだててきているだけなんですね。

強烈な皮肉です。

これは実体験からきてるようで、実際にそんなようなことをいう連中によく遭遇していたみたいです。

エンディングのギターソロがとても格好いい。

「クレイジーダイヤモンド」のギターリフ、この曲のギターソロ、「あなたがここにいてほしい」のアコースティック・ギターのイントロなど、ギターの聴き所が多いのも本作の特徴で、ギタリスト必聴ですね。

デヴィッド・ギルモアというギタリストは超人的で卓越したギターテクニックをもっているわけではないのですが、本当に音楽的で、いいギターフレーズを弾くので大好きなギタリストです。

「あなたがここにいてほしい」(Wish You Were Here)

おそらくピンク・フロイドの曲の中でも一二を争う人気曲でしょう。

12弦ギターの有名なイントロで始まる美しいバラードです。

この曲、メインの作曲はデヴィッド・ギルモアで、作詞はロジャー・ウォーターズなんですが、双方の曲の捉え方が異なっていて興味深いです。

この曲もシド・バレットを思って書かれた曲という一般的な理解があって、ギルモアは歌うときは必ずシドのこと思い出さずにいられないと語っているんだけれど、対して作詞者のウォーターズは自分自身に向けている曲だと発言してるんです。

あとはギターソロにあわせてギルモアがスキャットで歌うのですが、これが結構音程高い。

それほど高音域の歌が多いわけでもないので、デヴィッド・ギルモアは実は結構高い声出るんだなとびっくりしました。



5. まとめ

メンバーのデヴィッド・ギルモアとリチャード・ライトも実は本作を一番のお気に入りにあげています。

さらに深い内容を知りたい方にはThe Story of Wish You Were Hereというドキュメンタリーも出ていますので是非どうぞ。

Pink Floyd ピンク・フロイド / The Story Of Wish You Were Here■北米版ブルーレイ■BD
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