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ベストアルバムの名盤【邦楽編】

ベストアルバム不遇の時代。

Twitterやって音楽好きの方々と交流してて思ったのは、自分が思ってたよりもベストアルバムって人気ないなってことですね。

僕はベストアルバム大好きなんで、ベストアルバムの良さを伝えたいなと。

まぁ「アーティストの代表的な楽曲がコンパクトにまとまってるのがベストの良さだろ」って言ってしまえばそういう事なんだけど、それだけじゃないんです。

ベストならなんでも良いのかと言われれば全然そんな事なくて、オリジナルアルバム同様、良いベストアルバム、悪いベストアルバムってあるんです。

という事で、今日はベストアルバムの中でも特に優れたベストアルバムを紹介していきます。

まずは邦楽編です。

良いベストアルバムとは

まずは僕が考える良いベストアルバムの条件を紹介していきます。

ベストなんで代表曲、名曲が沢山はいっているというのは大前提としてです。

  1. 音楽性の変化が著しいミュージシャンのキャリアの全体像を手早く把握できる。
  2. 通常は手に入りにくい音源が複数曲手に入る
  3. 流れが完璧すぎてオリジナルの追従を許さない

ここで一つ一つ解説してみても良いんですけど実際に例を見ながら解説していこうと思います。

1. 『US』坂本龍一(2002年)

本人の帯コメントで「全部入ってりゃいんでしょ!(坂本龍一)」って書いてある通り全部入ってます(笑)。

教授(坂本龍一)の音楽性の幅広さって異常なほど広くて、環境音楽や民族音楽から普通のポップやラップ、ロック、電子音楽とほんと様々で、かつそれぞれクオリティも高いんですよね。

というわけでそんな教授の作品遍歴を適切に俯瞰できるのがこのベスト盤なんですよ。

正に①「音楽性の変化が著しいミュージシャンのキャリアの全体像を手早く把握できる」にものすごく当てはまってるんです。

更にサブスクでは聴けない『未来派野郎』に入ってる名曲や、「WAR HEAD」って言うアルバム未収録の音源も聴けたりして、②にも若干当てはまってます。

ただこのベストには欠点も幾つかあって、まず当たり前ですが2002年以降の音源が入っていない。

あと、同時発売でサントラベスト『UF』がでてまして、そっちには大島渚監督の名作『戦場のメリークリスマス』のテーマ「Merry Christmas Mr.Lawrence」が入っててこっちには入ってないので厳密には「全部」じゃない感はあります。

それから最大の欠点はここまで紹介しておいてなんですけど、このアルバムどうやら生産限定品だったみたいで、もう市場には流通してないし、当然サブスクでもきけなかったりします…。

「そんなアルバム紹介すんじゃねー」とお思いかもしれないですけど、ほんと教授の素晴らしい音楽遍歴が俯瞰できる名盤で、生涯のお供になる事間違いなしですし、中古ならまだまだお求め安い値段で手に入ります!

値段が高騰してない今のうちに是非!

2. 『YMO GO HOME!』『UC YMO』

Yellow Magic Orchestra(以下YMO)って実はアルバム単位で評価しづらいアーティストなんじゃないかって思ってます。

1978年から83年の短い間にアルバム7枚も出してて、その間各メンバーのソロ活動とか他のアーティストへの楽曲提供とかとにかく仕事量も異常なんですよね。

個人的にはアルバムの枚数を減らして厳選した曲のみを収録したアルバムが2、3枚できたらもっとすごかったのになとおもったりするんです。

また前期と後期で結構音楽性も変化しているので、一枚聴いてみたけどあまりピンと来ないなと思ってYMO諦めちゃう人もいるんじゃないかと思ったりもします。

ということで、YMOの入門でしたらオリジナルアルバムよりもまず最初にベストアルバム聴いてほしいな、と思ったりします。

それからYMOにはトリッキーな編成のアルバムがいくつかあるんです。

例えば『増殖』『Service』というアルバムは曲の合間にコントが入ってるんですね。

最初は面白いんですけど、正直一度聞けばいいかなという感じなんで、その2枚の曲がベスト盤だとお手軽に邪魔なしでまとめて聴けるのも利点だったりします。

『YMO GO HOME!』『UC YMO』はそんな彼らのキャリアを俯瞰できるベストであるとともに、点在する代表曲をまとまって聴ける利便性が売りです。

『YMO GO HOME!』は細野晴臣選曲で、『UC YMO』は坂本龍一選曲です。

それぞれにレア音源と選者による楽曲解説が入っていて、それだけで買いなんですよね。

同時発売ではないので曲は結構かぶっています。

それぞれの選んだ楽曲の違いを比べてみるのも一興です。

また細野さんと坂本さんの両者の解説がそれぞれ入ってるんで、そこもポイントですね。

当時の貴重な話とかが読めたりします。

というわけで両方に抗えない魅力が有りますので両方聴けと言いたいところですが、最初はとりあえずどちらかを入門として集中的に聴いていただければと思います。

3. 『GOLDEN BEST』井上陽水

井上陽水さんもキャリアが長くて音楽的な変化も大きいのでキャリアを俯瞰できるこのベストはかなり実用的だと思っています。

初期のフォーク、フォーク・ロック路線から、中期のファンキーなサウンドだったり、シンセをフィーチャーしたポップだったり、奥田民生さんとのデュエット楽曲まで実に様々な楽曲を収録しています。

音楽遍歴もかなりあり、バラエティ豊かなんですけど全然とっ散らかった印象がこのベストに無いのは、楽曲の核にあるのが陽水さんの透き通る様な美声、歌のうまさと、独特の世界観を提示する歌詞にあるからですね。

その二つの柱がガッチリしてるから統一感がめちゃくちゃあるし、先の様々な音楽遍歴も、単に時系列に並べるのではなく、バラバラに効果的に曲順が配置されることによってベスト盤自体の飽きの来なさに貢献しています。

4. 『SUPER BEST II』チャゲ&飛鳥

このベストの欠点といえばみんながしってる「YAH YAH YAH」が入ってないことぐらいなんじゃないでしょうかね。

まぁでもそんな事は些細な事でして。

このアルバム、とにかく全曲圧倒的なテンションで異様なんですよ。

ボン・ジョビ「Livin’ on a prayer」って超エモーショナルでめちゃくちゃ盛り上がる曲があるんですけど、もう殆ど全曲そんな感じなんですよね。

それはPV見てもらっても、その動きだけで分かると思うんですが。

「YAH YAH YAH」に並ぶ代表曲の「SAY YES」も入ってますし、2人の歌唱力の凄さをとにかく堪能できる一枚ですのでオススメです!

現時点ではサブスク等のストリーミングサービスで聴くことはできませんが、とにかくめちゃくちゃ売れに売れたベスト盤ですので、ブックオフにもあるし、文化的にもどでかい影響を及ぼしてたので図書館にもあったりと、アクセスもしやすいです。

5. 『REVIEW』GLAY

いや、このアルバム最高ですよ。

とにかくギターロックバンドとしてのGLAYの有能さが堪能できる一枚です。

本作の魅力はもちろんベスト盤ということで単純に良い曲が沢山入っているというのもあるんですけど、全盛期のバンドが過去の曲を再録したベストなバージョンが聴けるところにあります。

②通常は手に入りにくい音源が複数曲手に入る

というのに正に当てはまりますね。

TAKUROさんの曲って歌謡曲的なキャッチーさがあるんですけど、それとギターロックバンドであることを両立させるのって実は結構難しいことだと思います。

本作はそんな困難な事を全編で高いクオリティでやってのけている彼等のドキュメントになっていて、GLAYってかなり凄いことをやっているんじゃないかと気づかせてくれる一枚でもありますね。

昔記事を一本書くぐらい好きな作品ですので是非聴いていただきたいです。

6. 『大吟醸』中島みゆき

キャリアは長く、作品数も多いし、TVとかにも出ないのでかなりミステリアスで、名前は知ってるけどカバーされてるのしか聴いたことない、という人も実は多かったりするアーティストではないでしょうか。

中島みゆきさんの音源はサブスクリプションサービスで聴けないので、聴こうと思ったらCDを買うか借りるかしなきゃいけないんですけど、2020年の現時点ではオールタイムベスト的な全てのキャリアを網羅したベストアルバムって出てないんですね。

そういう意味では1996年以前の代表作を網羅したこのベストアルバムが入門として最適だと思います。

7. 『Missing Boy』尾崎豊

『MISSING BOY』は通常のベストはちょっと違ってて、ライブ音源ばかりを集めたライブベストなんです。

とにかく熱量が半端ない一枚で、存命のうちにライブ観たかったなと後悔するレベルです。

まぁ年齢的に無理だったんですけど…。

正直殆どの曲がスタジオ盤を軽く凌駕していて、この後スタジオ盤を聴くと物足りなさを感じるぐらいです。

個人的には尾崎豊の他のベスト盤ってあまり選曲が良くないと思うものが多いので、その中で選曲面でも本作が最良だと思います。

入門編としても最適ですし、スタジオ盤を聴いてて好きだけどライブ盤聴いたこと無いという方にも是非聴いていただきたい一枚です。

8. 『Treasures』山下達郎

タイトル通りです。

このアルバムは宝箱みたいなもんです。

至高のポップスの詰め合わせです。

達郎さんといえば、全キャリアを網羅した『OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜』がでてますけど、なにせ3枚組の大ボリュームでなかなか全部聴き通すにも大変です。

そして『グレイテスト・ヒッツ』という初期のアルバムからのベスト盤もあり、そちらも素晴らしいのですが僕はこちらを推します。

達郎さんはRCA ⁄ AIRレーベルを離れ、自身も立ち上げに深く関わったムーンというレコード会社に移籍し、その時代からの選曲が本作なのですが、丁度時を同じくして作詞を全部自分でするようになったんですね。

今までは同じく歌手の吉田美奈子さんが半分は作詞をしてたりしたんですが。

という事で作家山下達郎としての真髄が詰まったアルバムだと思います。

そしてアルバムの選曲、曲順なども練りに練られ、正に③の流れが完璧すぎてオリジナルの追従を許さないに当てはまります。

またオリジナルアルバムには、収録されていないシングル曲の音源も複数入っており、入門編としてもコレクターズアイテムとしても損をさせない作りになっています。

しかも現時点ではサブスク等のストリーミングサービスで聴けないという事もあり、もう買わない理由はないんじゃないでしょうかね。

本人による丁寧な解説も読み応えバッチリで、まさにベスト・オブ・ベストアルバムと言っても過言ではないです。

まとめ

まぁこんな所だろうという当たり障りないベストアルバムなら山の様にありますし、極端な話、ストリーミングサービスで常に更新されるベストでも、良かったりします。

しかし中には、前述した三つの理由、

  1. 音楽性の変化が著しいミュージシャンのキャリアの全体像を手早く把握できる。
  2. 通常は手に入りにくい音源が複数曲手に入る
  3. 流れが完璧すぎてオリジナルの追従を許さない

により、オリジナルアルバム以上に愛着を持ちやすいベスト盤というのが確かに存在します。

ということでいくつかオススメの邦楽のベスト盤を紹介していきました。

機会が有れば洋楽版もやってみたいと思います。

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