皆さんは冬の歌といったらどんな曲を思い浮かべるでしょうか。
冬の曲、本当に沢山ありますね。
毎年寒くなってくると、アーティストが冬にピッタリな曲を提供しようと工夫を凝らしていろいろ曲を発表していきます。
そんなわけで思いつく限り紹介していたらきりがありません。
そこで数ある冬の曲から、今回は選考基準を設けて絞り込んでご紹介したいと思います。
①長く聴き続けられる曲であること
さっき書きましたが冬をテーマにした曲なら沢山あります。
でもどうせ紹介するなら本当に長く聴き続けられる名曲をしりたくはないでしょうか。
ということで長く聴き続けれられる曲であることを一つの基準にしました。
そういう理由から、もう相応の年月が経っていて、まだ忘れられていないものを選んでいます。
ですから選曲されたものは少し古めのものが多いかも知れませんが、そういう意味があるのです。
②冬の情景が思い浮かぶ曲であること
ただ冬に関連するワードが入っているものを冬ソングとして認定してもいいものでしょうか。
聴いた人に音楽的にもしくはその巧みな詩から、何らかの冬の情景を思い起こさせる曲、冬を盛り上げてくれる曲、そういう要素が重要です。
聴いているだけで、音楽的、詩的になんらかの冬の情景を思い浮かばせてくれる曲。
そういったものを選びました。
今回は邦楽編です。
1. 冬に必ず聴きたくなるウィンターソングポップの名曲
- 槇原敬之「冬がはじまるよ」(1991)アルバム『君は僕の宝物』より
まず最初にご紹介したいのは日本のポップス職人によるワクワクするような冬の始まりの歌。
槙原敬之の1番有名な曲「どんなときも。」の後に発表された4枚目のシングルです。
冬になると必ず聴きたくなる冬の代表的なポップソングですね。
所々に冬らしさと、冬を盛り上げてくれるような要素がたくさん詰まった、職人的なポップナンバーです。
まずイントロからハーモニカの音がStevie Wonderそっくりですね。
このハーモニカの音色が、冬に暖かい部屋にいるような穏やかな印象をあたえます。
またこの曲リズムですが、シャッフルナンバーになっていて、その跳ねるようなノリがワクワク感を高めてくれます。
歌詞ですが、いきなり最初は8月から始まるんですね。
8月の君の誕生日半袖と長袖のシャツをプレゼント
したのは今年の冬もそれからもずっと僕らが
一緒に過ごせる為のおまじない
冬の歌なのに、ややトリッキーな始まり方です。
この歌詞で恋人同士になっている2人の関係性をさりげなく説明しています。
8月の前から続いてるステディな関係なんだよってことを説明してるんですね。
このあとですね、
去年のクリスマスはクリスマスケーキを売っていた、
と言うようなフレーズが出てきます。
つまりそれによって、この恋人たちにとって初めての冬であることがわかります。
状況の説明がさりげなくて上手いですね。
並みのソングライターなら、
何月から付き合い始めて
とか
2人で過ごす始めての冬
とか直接言っちゃうところを間接的に分からせるのは本当に粋ですね。
非常に見事なストーリーテリングで、リズム、メロディー、歌詞、すべての要素で、
冬が始まるわくわくを盛り上げてくれる職人的名曲です。
これははずせないでしょう。
2. 有名映画のテーマソング
- 坂本龍一「戦場のメリー・クリスマス」(Merry Christmas Mr.Lawrence)
本来であればクリスマスソングに分類されるべきかもしれません。
しかしこれほど「冬」に聴くのにふさわしい曲はなく、クリスマスだけに限定するのはなんとも勿体無いと思うのです。
繰り返されるやさしいメロディ。
鈴の音。
しんしんと降り積もる雪の映像がいまにも浮かんできます。
ずっと聴いていられる冬の曲です。
3. 演歌だけど実は…
- 森進一「冬のリヴィエラ」
いきなり演歌です(笑)。
森進一と言えば、1番有名な曲は紅白でもお馴染みの「おふくろさん」。
最近では「おふくろさん」ではなくONE OK ROCKのお父さんとしても有名になってますね。
そうONE OK ROCKのボーカルのTAKAは森進一の息子と言うことでも有名です。
「息子の方の曲は聴いていても、親父の方はまだ聴いたことないや」
って方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方にぜひオススメしたい、聴きやすく、定番ととでも言うべき冬ソングがこちらです。
実はこの曲、ちょっと聴いてみてもらえばわかると思うのですが、ちょっと普通の演歌っぽくないんですよね。
確かに歌は演歌歌手の森進一ですし、当然歌い方も演歌なんですが。
実は作曲を担当しているのが大瀧詠一、作詞を担当しているのが松本隆です。
お二人とも、はっぴいえんど、という70年代に活躍した、伝説的なロックバンドのメンバーで、数多くのアーティストに楽曲を提供してヒットを放っています。
大瀧詠一が大いに影響を受けたのが50年代のアメリカンポップス。
その雰囲気がこの曲にも入り込んでいるために、普通の演歌っぽくなくなっているんですね。
その和洋折衷っぷりがなんとも癖になるナンバーです。
演歌を一度も聴いたことない、
という方にも入門としてオススメです。
ついでといっては何ですが、ここでもう一曲ガチガチの演歌を紹介しておきましょう。
- 石川さゆり「津軽海峡・冬景色」
演歌で冬の曲といえばこれですね。
4. 日本の音楽シーンの土台的バンドの冬ソング
- はっぴいえんど 「抱きしめたい」
先ほどの「冬のリヴィエラ」作詞作曲コンビがいたバンド、はっぴいえんど。
日本のロック史を語る上では欠かせないバンドですが、「12月の雨の日」「春よ来い」など、はっぴいえんどには冬の曲がちらほらあります。
この曲も冬の雪原を走る機関車が出てくる立派な冬ソングです。
ゆったりとしたベースとドラムのリズムが冬の雪原を思い起こさせます。
5. NHK『みんなの歌』でおなじみの冬ソング
- 「北風小僧の寒太郎」
NHK『みんなの歌』でおなじみの曲ですね。
なんどか歌い手を変えて引き継がれている歌ですが、有名なのは北島三郎と境正章のバージョンですね。
今ではすっかりテレビタレントとして認知されていますが、堺正章は、実はスパイダースというグループサウンズのバンドでボーカリストとして活躍していました。
さて肝心の曲です。
イントロの哀愁たっぷりの口笛。
子どもの合唱の掛け声、「かんたろーーー」という合いの手がコミカルなんですけど、同時に一種の寂しさ、切なさみたいなものがあって、なんとも言えないバランス感がたまらない曲。
いくつかバージョンがある曲ですが、イントロはやはり口笛で、子どもの合唱が入っているものがいいですね。
映像をこちらで紹介できないのが非常に残念ですが、寒太郎のキャラクター造形もかわいらしくていいです。
相対性理論のやくしまるえつこにもカバーされています。
6. 半分、夏い冬ソング
- 松任谷由実「サーフ天国、スキー天国」
「恋人がサンタクロース」「Blizzard」など、ユーミンには多数冬ソングがありますね。
正直どの曲を選ぶべきか非常に迷いました。
そんな中であえて半分は夏の事を歌ったこの曲をチョイス。
ワクワクさせてくれるイントロと歌詞が冬のレジャー気分を高めてくれます。
古い映画ですが『私をスキーに連れてって』でもオープニングでこの曲が使われていましたね。
ウィンターリゾートに行く時など、ワクワクしながら聴くドライブソングとしても最適!
7. あの2人が在籍していた伝説のバンドの冬ソング
- The Flipper’s Guitar「Colour Field」 邦題「青春はいちどだけ」
いまや世界的な評価を獲得し、セッションギタリストとしても活躍するコーネリアスこと小山田圭吾。
この二人が組んでいた伝説のバンド、フリッパーズ・ギターから一曲。
名盤2ndアルバム『カメラ・トーク』から。
正に青春のようなあの時限りの奇跡的なバンドでしたね。
早朝の雪原を思い起こさせるような、凛とした空気をなんとなく想起させるサウンドです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
不思議なことに冬ソングといっても「寒さ」を想起させるものよりは、ある種の「あたたかみ」「やわらかさ」を想起させるものが多かったですね。
楽器としては鈴の音などももちろんありましたが、柔らかい音色のシンセサイザーなどもその特徴の一つかと。
最近はYouTubeなどでプロモーションビデオと一緒に曲を楽しむことも多いです。
そこで冬の映像を流せば確かに冬っぽく見えはしますが、曲単体で聴いてみて冬っぽさを感じられるかはまた別の話…
どういうサウンドが冬っぽいか自分なりに考えてみるのも面白いと思います。
これを機に、皆さんも自分なりの冬ソング、集めてみてはいかがでしょうか。
(文中敬称略)