文学から影響を受けた曲【洋楽編】

ミュージシャンはどうやって歌詞を書いているのでしょうか?

日々の生活や恋愛、つらかった出来事、苦労したこと、社会に対して思うことなど…。

実際に自分が感じたこと、経験したことがもとになっている歌詞が多いかと思います。

そのいっぽうで、何かしらのインスピレーションを他のメディアや芸術分野から得て歌詞を書くことも多々あるようです。

映画や漫画、美術や建築など……。

今回はその中でも「文学作品から影響を受けて書かれた曲」を取り上げてみました。

作詩も「文学」と同じで言葉に対して真摯に向き合う作業。

「文学」との相性は良さそうです。

「曲は作れるけど歌詞の書き方がわからない」と悩みをお持ちの方にも少しは参考になるかと思います。

そんなわけで、文学作品から着想を得た曲、文学作品を取り入れた曲の特集です。

1. レッド・ツェッペリン「ランブル・オン」Led Zeppelin “Ramble On”

  • J・R・R・トールキン『指輪物語』(J.R.R. Tolkien The Lord of the Rings

レッド・ツェッペリンの「ランブル・オン」は映画化され大ヒットした事でも著名な、トールキンの『指輪物語』にインスパイアされて作られました。

『指輪物語』はその名の通り、「一つの指輪」をめぐって多数の種族が攻防を繰り広げる壮大なファンタジー。

1954から55年にかけて出版されるや否や世界的なベストセラーとなりました。

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原作は主人公のホビット達の旅が主軸になっていますが、このツェッペリンの「ランブル・オン」でも「旅」がテーマになっています。

しかしこの歌の主人公が求めるのは指輪ではなく理想の女性…。

ツェッペリンらしいといえばらしいですね。

それにしてもツェッペリンの音楽的な豊饒さがよく分かる曲で、それぞれのパートの表現力の豊かさは、コレが理想的なバンド! と思わずにはいられません。

特に表情豊かなベースが素晴らしいですね。

ベーシストの皆さんはアレンジの参考にもなるかと思います。

是非聴いてください。

2. レディオヘッド「2+2=5」Radiohead “2+2=5” [The Lukewarm]

  • ジョージ・オーウェル『1984年』(George Orwell Nineteen Eighty-Four

レディオヘッドの「2+2=5」は6枚目のアルバム『ヘイル・トゥー・ザ・シーフ』(Hail To The Theif) の冒頭の一曲。

「2+2=5」。

なんとも不思議なタイトルですね。

実はこれはジョージ・オーウェルのディストピア小説『1984年』の文中からの引用なんですね。

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『1984年』は1949年に発表されたイギリスの小説。

これは20世紀を代表する一冊といわれている小説です。

イギリス人が「実は読んでいないのに読んでるふりをする小説第一位」に輝いたこともあります。

つまりもう古典や教養として受け入れられている名作っていうことですよね。

さて肝心の小説の中身です。

市民の生活が全て当局によって監視されている全体主義社会を描いたディストピア小説。

ロンドンに住む主人公のウィンストン・スミスは真理省と呼ばれる政府機関で働いており、政府に有利になるように公的な記録文章を改ざんしたりする仕事に従事しています。

当然2+2は4なのですが、それを政府が発表すれば2 +2 = 5であると言うふうに何でも真実を捻じ曲げることができる。

「2 +2 = 5」はそういうことを象徴するフレーズなんですね。

レディオヘッドはその「2 +2 = 5」を曲のタイトルとして採用しました。

で肝心の歌の内容も小説に沿うような内容で、時の為政者が真実を捻じ曲げ、気づいたときにはもう遅いと言うような内容になってますね。

背景としてはアメリカのブッシュ政権に対する批判があったのではないかと言われていましたが、本人たちは否定していますね。

もちろんそのような状況も念頭にあったと思いますが、この歌で歌われているような内容は、この先も起こり得るような事態についての歌であり、ブッシュ政権のことだけ、と限定されるのも嫌だったのだとおもいます。

『1984年』は実はロック界でも歌のテーマとして人気でして、代表的な例ではデヴィッド・ボウイ(David Bowie) はそれを下敷きとしたアルバム『ダイヤモンドの犬』を作りました。

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またピンク・フロイド( Pink Floyd)は ジョージ・オーウェルが全体主義、スターリニズムを強烈に風刺した小説『動物農場』を下敷きにしたコンセプトアルバム『アニマルズ』を制作しました。

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このようにジョージオーウェルと彼の作品はロックの世界に少なからぬ影響与えています。

ぜひその作品にふれてみてはいかがでしょうか。

3. ザ・スミス「セメタリー・ゲイツ」 The Smiths “Cemetery Gates”

  • キーツ、イェイツ、オスカー・ワイルド (John Keats, William Butler Yeats, Oscar Wilde)

ロック界の文学青年。

というと真っ先に思い浮かぶのはザ・スミス (The Smiths) のボーカル、モリッシーではないでしょうか。

彼がロックにもたらした激しくも繊細で美しい詩作は、文学の影響無しにはあり得なかったでしょう。

『ザ・クイーン・イズ・デッド』(The Queen Is Dead) 収録のこの曲には詩人のキーツ、イェイツ、そしてオスカーワイルドへの言及がなされています。


さてこの小説にはヴォランドという登場人物が出てきますが、彼は歴史上の様々な人物に実際に会い歴史を動かしてきたと言い、未来に起きる出来事を予言します。

このコンセプトが丸々「悪魔を憐れむ歌」の歌詞に受け継がれていまして、歌の主人公たる語り手は次々と自分が関わってきた歴史的な出来事に言及を重ねていきます。

ちなみにこの曲のレコーディングの様子は、ジャン・リュック・ゴダールの映画『ワン・プラス・ワン』で観れます。

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が正直あんまりオススメはしません…。

5. アイアン・メイデン「ブレイブ・ニュー・ワールド」 Iron Maiden “Brave New World”

最も文学に対する言及が多いバンドは? 意外にも(失礼)代表的なメタルバンド、アイアンメイデンがその答えに近いです。



同じく代表的なスラッシュメタルバンド、アンスラックス「アモング・ザ・リビング」”Among the Living”という曲がスティーヴン・キング (Stephen King)の小説 『ザ・スタンド』(The Stand) を下敷きにしています。

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メタルの歌詞というのは、ジャンルの性質上、歌詞に非日常性や壮大なスケールを求められます。そういったときに、古典文学や故事、聖書の中の物語、歴史上の出来事は恰好の題材になるんですね。

実際にそういったものを参考にしたものは非常に多いです。

それらに精通していればメタルの歌詞ももっと楽しめるかもしれません。

特に聖書は音楽に限らず西洋の文化を学ぶ上で基礎になってますので、聖書について学べる何かしらの本を読んでみるのはおすすめです。

最近はコミカルな歌詞も多い邦メタルですが、メタルバンドをやられている方はこういう古典的なアプローチも参考になるのではないでしょうか。

6. ベル・アンド・セバスチャン「ザ・ロンリネス・オブ・ア・ミドル・ディスタンス・ランナー」Belle and Sebastian “The Loneliness of a Middle Distance Runner”

ベルアンドセバスチャン、日本の通称はベルセバ。

スコットランドのグラスゴー出身の日本でも根強い人気のあるバンドです。

そもそも彼らはそのバンド名をフランスの児童小説からとっています。

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また、アルバム『天使のため息』(If You’re Feeling Sinister) のジャケットにはカフカの『審判』のペーパーバックが写り込んでいますね。
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そんな文学と密接な関係があると言っても差し支えない彼ら。

「ザ・ロンリネス・オブ・ア・ミドル・ディスタンス・ランナー」という曲があります。

7. ザ・ビートルズ『アイ・アム・ザ・ウォルラス』The Beatles “I Am The Walrus”

史上最も有名なバンド、ビートルズにも文学から影響を受けた曲があります。

それが、アルバム『マジカル・ミステリー・ツアー』に入っている「アイ・アム・ザ・ウォルラス」。

これも余談なんですが小説『宇宙の戦士』は原題そのまま『スターシップ・トゥルーパーズ』として映画化もされてます。

オランダ出身のポール・バーホーベン監督がハリウッドでメガホンをとった風刺エログロバイオレンスてんこ盛りの大傑作です。

そういうのが苦手でなく、むしろ好物だという方はおすすめです。

9. ボブ・ディラン「廃墟の町」 Bob Dylan “Desolation Row”

以前から受賞するといわれていたボブ・ディランですが、ついに2016年にノーベル文学賞を受賞しましたね。

言うまでもなくミュージシャンが受賞したのは初めてのことですので、大きな話題にもなりました。

ディランがロック界、ポピュラーミュージックシーンにもたらした「歌詞」の革命は絶大だったと言われています。

それまで歌の歌詞のというものは他愛のないものでしたが、ディランの登場を境にその影響により、そしてそのディランの詩は、本人も認める様に当然文学からの影響無しには成り立ちえませんでした。

今回そのサンプルとして紹介したいのは「廃墟の街」。


詩人のエズラパウンドとT.S.エリオットが登場するこの曲は彼の文学的集大成の1つと言える曲です。

音楽的にはかなりシンプル。

ディランのギターの弾き語りにスパニッシュギターが美しく絡む、ただそれだけです。

11:22秒とかなり長い曲ですが、その魅力に一度気づいてしまえばあっという間に感じます。

混沌とした現代を詩情豊かに美しく、そして時にグロテスクに描きだす歌詞は、発表から半世紀以上が経過した今日でも十分有効です。

是非ディランの素晴らしい詩の世界に是非触れてみてください。

まとめ

ということで今回は文学から影響を受けた曲【洋楽編】をおおくりしました。

邦楽編もやっていますのできになったかたは是非チェックしてみてください。

文学から影響を受けた曲 【邦楽編】
今回は邦楽で文学から影響を受けた曲を紹介したいと思います。ミュージシャンには結構読書家の方もいらっしゃって、文学作品を参照していたりする曲がちらほらあったりします。そういう曲を集めてみました。自分で創作活動をやって...
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