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ライブ音源のほうが良い曲

今回はライブ音源の方がオリジナルのレコードの音源よりもいい曲の特集をしたいと思います。

ライブでレコーディングされた曲の方がスタジオで録音された曲よりもバージョンよりもいい曲ってありますよね。

今回はそういったものを集めてみました。

また、どういう点がスタジオ録音盤より優れているかについても研究してみました。

「ノーウーマン、ノークライ」ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ “No Woman, No Cry (Live At The Lyceum, London 1975)”

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この音源が入ってるアルバム『ライブ!』は1975年のロンドン公演を収録した有名なライブアルバム。

この曲のオリジナルは前年の1974年に発売されました。

原曲は打ち込みのドラムをフィーチャーしていて、もうちょっとのんびりした印象のある曲

一方このライブバージョンだとテンポも落とされて、シリアスで切ない雰囲気になってます。

打ち込みのドラムがライブの生演奏になって独特のノリが出てるっていうのもあるんですけど、観客の合唱やコーラス、ボブ自身の歌い方も切実なものがあって感動的です。

マイクのハウリングとかのノイズも入ってるんですけどそれもほんとに絶妙なタイミングで入っています。

そんな偶然の要素もかなり貢献してるライブ音源で、様々なカバーがある曲なんですけど、このテイクには勝てないかと。

ちなみにNo woman, No CryのNo Cryの部分はジャマイカ・クレオール語でNah Cry、標準的な英語でいうとDon’t cryというニュアンスだそうです。

「無い!」ゆらゆら帝国 東京恵比寿THE GARDEN HALL 2003年5月30日

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ライブは1種の宗教的な神秘体験であるということを再認識させられるような素晴らしいライブ録音がこのゆらゆら帝国「無い!」です。

ゆらゆら帝国もライブが素晴らしかったバンドとしても有名ですが、この曲はそれを裏付ける音源の最たるものですね。

原曲はミニマルミュージックのようなシンプルで曲になる反復のリズムが高揚感をもたらすテクノっぽい構造になっている曲ですが、ライブバージョンでは、原曲のコアとなるテイストもキープしながら、さらにロックバンドぽいダイナミックな演奏になっています。

特筆すべきはその後半部分。

バンドの勢いが増してきてほぼノイズまみれのサウンドになるのですがその圧倒的な陶酔感ですね。

別の世界に連れてかれちゃうようなそんな宗教的体験のような演奏で、生で聞けた人がほんとにうらやましいです。

彼らが現役の時にライブを見れなかったっていうのは、ほんとに残念です。

「明日なき暴走」ブルース・スプリングスティーン “Born to Run (August 19, 1985, Giants Stadium, East Rutherford, New Jersey)” Bruce Springsteen

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ライブのテンション、熱量が凄まじいことでも有名なブルース・スプリングスティーン。

スタジオ録音盤よりも優れたライブバージョンを数多く残しているアーティストだと思います。

つい先日も伝説のライブと言われていた1979年のNo Nukesという反核イベントライブでの演奏『The Legendary 1979 No Nukes Concerts』のライブ音源が発表され、ネットの音楽好きの間で話題になってました。

「ボーン・トゥー・ラン」はブルース・スプリングスティーンの中でもかなり有名な曲で、1番の代表曲と言っても差し支えない曲。

もちろんスタジオ盤も有名で名演なんですけれども、比べてしまうとこの曲もライブバージョンの方が素晴らしいと思います。

一番の違いと言えばイントロや曲の感想で差し込まれる印象的なギターリフですよね。

この部分がスタジオ盤のミックスでは割とライブに比べおとなしめなんですが、こちらのライブ版ではかなり強調されて聞こえます。

スタジオ版は鉄琴の音が目だっていて、ドリーミーなアレンジでブルースの歌い方もちょっとけだるけな所もあるんですけど、ライブではよりストレートなロックンロールになっていて歌もかなり熱っぽいです。

ブルース・スプリングスティーンのスタジオ盤は聴いたことあるけどライブバージョンをあまり聞いたことない、という人は本当に素晴らしい音源ばかりですので是非ライブ盤をチェックしてみるといいと思います。

今回紹介したライブテイクも収録したライブベストアルバム『Live 1975–85』がおススメです。

「カッツ・ライク・ア・ナイフ」 ブライアン・アダムス “Cuts Like a knife” Bryan Adams 

80年代にポップなロックで一世を風靡したブライアン・アダムスが有名な MTV の企画番組 MTV Unplugged に出演した際の音源がこちら。

ニルヴァーナエリック・クラプトンとかと違って、ブライアン・アダムスの MTV Unpluggedはあまり言及されることがないんですけど、これは本当に素晴らしいアルバムです。

いくつかの曲はスタジオ盤よりもグッと魅力的なアレンジになっています。

この「カッツ・ライク・ア・ナイフ」原曲ももちろん素晴らしいポップなロックナンバーです。

が、80年代当時のプロダクションの影響が色濃くて今聴くと若干古臭さもあるんですよ。

ところがこのライブバージョンに関しては、アコースティックでシンプルなアレンジで曲事態の良さがひきたってます。

それだけではなく、フルートが入ったり、ケルト音楽的なアレンジが施されていて、それがものすごくマッチしており、曲に深みが加わっています。

さらに後半では観客の合唱も入り、イイ感じにもりあがるんですよね。

同アルバムのベストトラックの一つだと思います。

「ライフ・ビギンス・アット・ジ・ホップ」XTC “Life begins At The Hop (Hammersmith Palais, 22 December 1980)” XTC

XTCは中心メンバーのアンディ・パートリッジがステージに立てないという状態になってしまったため、キャリアの途中でライブ活動をやめちゃうんですけど、それ以前に残されていたライヴ音源を聞くにとてもテンションの高い素晴らしい演奏を展開していました。

初期から中期前半までのライブ録音はスタジオ盤よりも良いものが多いです。

もともとその時期はパンクの影響もあり、かなり攻撃的な楽曲が多かったので、ライブが映えるんですよね。

この曲はBBC Radioの企画でのライブを収めたアルバムからのオープニングトラック。

原曲よりも少しテンポも速くなって勢いがましてますし、短音メインで構築されたギターソロも素晴らしい出来です。

原作のトレモロがかったギターのエフェクトがなくなった分、曲自体がシャープにもなってます。

この曲だけでも、 XTCがいかに素晴らしいライブバンドであったかということがよくわかる曲だと思いますし、このアルバム全体もオススメですね。

「OMOIDE IN MY HEAD」NUMBER GIRL

NUMBER GIRLもライブに定評のあるバンドで『記録シリーズ』としてライブ会場で発売されていたライブ音源集や、正式なライブアルバムも何枚か残しています。

というかスタジオ版よりもライブ演奏のほうがいいテイクが多かったりしますし、そもそも彼らのレコーディング自体、重ねどりによる構築的なものというよりは、如何にバンドの熱をレコードに収めるか、そのライブ感的なものを伝えるかに注力された仕上がりになっています。

この「OMOIDE IN MY HEAD」という曲はそんな彼らのライブの中でハイライトになることが多い曲で、ベストアルバムのタイトルに採用されたり、ライブアルバムには毎回収録されていたり、本人たちもかなり思い入れがある曲だと思われます。

今回紹介したいのはそのベスト盤『OMOIDE IN MY HEAD 1 ~BEST&B-SIDES~』に収められたライブ音源で、同曲のいくつかのライブ音源の中でもベストだと個人的に思っているバージョンです。

この曲のライブ版のすばらしいところは、イントロ部分。

ドラムのソロで始まり、ここのパートの演奏の徐々に高まっていく熱気とブレイク、そしてその間隙をついた観客の歓声の後にガツンとやってくる一丸となったバンドの演奏がたまらないですね。

「サイコ・キラー」トーキング・ヘッズ ”Psycho Killer” Talking Heads

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『羊たちの沈黙』で有名な映画監督ジョナサン・デミが監督したトーキング・ヘッズのライブ映画『ストップ・メイキング・センス』の一曲目に演奏されるナンバーがこの「サイコ・キラー」です。

オリジナルはデビューアルバムに入っていてフルバンド編成での曲になるんですけど、このライブバージョンではボーカルでギターのデヴィッド・バーンの歌とギター、あとはリズムマシンだけのかなりシンプルな音源になってます。

しかし、これがなかなかいいんですよね。

デヴィッド・バーンの切れ味の鋭いカッティングと、後半リズムマシンが暴走し始めるところとかなかなか聴きどころになってると思います。

というわけでかなり原曲よりもシンプルなんですけれども、連続殺人犯を描いたこの曲の何とも言えない不気味さやそれにもかかわらずちょっとユーモラスなところなどがより強調されて響いてくるのはこのバージョンだと思います。

そして原曲はちょっと歌唱が演技的すぎるというか、バンド演奏も含め(わざとでしょうが)オーバーなところがあるんですけど、このライブバージョンではもうちょっと湿っぽく歌っていて、原曲の歌としての良さがよりダイレクトにでています。

「スペース・トラッキン」ディープ・パープル “Space Truckin’(Osaka 16 August, 1972)” Deep Purple

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有名で日本で録音されたライブアルバムの名盤ということで日本でも結構知名度の高いアルバムがディープ・パープルの『MADE IN JAPAN』です。

日本では『LIVE IN JAPAN』という名前で違うジャケットがつけられて販売されてますね。

「スペース・トラッキン」は元々『マシーン・ヘッド』 という彼らの代表作に収められていた曲。

原曲もかなりテンションの高い素晴らしい演奏なんですけどライブバージョンはさらに激しさを増してます。

途中で各プレイヤーのインプロビゼーションなども入っており、かなり長いんですけど、終盤のえげつないテンションは原曲を遥かに凌駕してます。

ディープ・パープルは「ハイウェイ・スター」とか「バーン」みたいな、コテコテな曲が代表曲として取り上げられることが多いのですが、如何せんちょっと古臭さはあるんですよね。

彼らのもっとパンキッシュな側面だとか、メタルばりに凶悪な演奏だったりは、上記の代表曲よりも、「スペース・トラッキン」「ファイヤーボール」「スピード・キング」 などの曲で聴けるので、いままでディープ・パープルピンとこなかったかたはこのライブ含め、上記の曲を聴いてみてもらいたいです。

「エイント・イット・ファンキー・ナウ」ジェームス・ブラウン  “Ain’t It Funky Now (The Olympia Paris 1971)”  James Brown

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ジェームス・ブラウンもライブが素晴らしいことで有名なアーティストです。

『Live at the Apollo』は彼の代表作というだけではなく、ライブ盤の名盤ランキングで一位に選ばれることもあったりするほどですし、今回紹介する音源を収めた『Love Power Peace Live At The Olympia Paris 1971』などライブの名盤も多いです。

原曲はゆったりとしたおなしめのトーンでずっと聴かせる長尺のファンクナンバーでした。

しかし、このライブバージョンはテンポもアップし、ドラムとギターも迫力をました、攻撃的で強力なファンクナンバーになっています。

原曲がゆったりと踊るようなナンバーだとしたら、このライブバージョンはなんにも考えずに頭を激しく振りながら踊り狂えるようなアレンジになっています。

そして何と言ってもこの曲のライブバージョンで一番のハイライトは、キャットフィッシュのギターソロです。

とにかくテンションの高いバンドの演奏が楽しめる一枚になっていますのでこの曲に限らず、すごいなと思った人は『Love Power Peace Live At The Olympia Paris 1971』のアルバム全体を聴いてほしいですね。

「ゴット・マイ・モジョ・ワーキング」マディ・ウォーターズ “Got My Mojo Working Part.2 (April 24, 1969, at the Super Cosmic Joy-Scout Jamboree)” Muddy Waters

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今回紹介する中で最もテンションの高い必殺のライブトラックがこのマディ・ウォーターズと彼のバンドの演奏じゃないでしょうか。

勿論この曲自体は超有名な曲ですが、その衝撃的な演奏の割にはこのライブバージョンはあまりしられてない気がしますね。

腑抜けたロックやメタルを凌駕する興奮をもたらしてくれる必殺のブルース・ロックが展開されてる音源かと。

マディ・ウォーターズは言わずと知れた伝説のブルースマンで、ローリング・ストーンズを始め、数多くのロックバンドに絶大な影響を与えてきました。

もともとはR&BシンガーのAnn Coleのために書き下ろされた曲ですが、マディ・ウォーターズが歌詞とアレンジに変更を加え、そのバージョンが彼にとっても重要なレパートリーになっていました。

原曲も十分迫力のある演奏なのですが、こちらの1969年のライブ音源は、疾走感のあるベースラインに、激しいブルースハープが吹き荒れ、ジミヘンのバックでも叩いてた、Buddy Milesがドラム、Michael Bloomfieldがギター、Paul Butterfieldがハーモニカ、Donald Dunnがベースと面子も相当豪華です。

そんな熱気のこもった演奏に堪えるような観客のレスポンスも凄まじく、それに呼応するようにマディ・ウォーターズやバンドの演奏もエスカレートしていくという、正に理想的なライブ音源になってます。

まとめ 

ということでライブバージョンのほうがいい曲を紹介していきました。

ライブ音源が原曲を凌駕するパターン、まあ、それぞれの事情がありますけど、まとめると下記の三つの要因に分類されるかと思います。

  1. 原曲スタジオ版の余計な装飾がライブ映えするシンプルなアレンジに差し替えられることで、曲時代の良さが際立ってきこえる。
  2. スタジオバージョンの抑制された演奏が、ライブならではの臨場感や観客の熱気と一体化することで、さらに激しさや感情的な爆発を生んでいる。
  3. 原曲になかった要素が、ライブならでは尺や即興によって生まれ、それがよかったりする

最近 YouTube などでライブ音源が配信されてたりライブ映像自体が結構出回っている事も関係しているのか、最近ライブアルバムはあんまり出ていないです。

しかし、このようなライブの名演を聴くと、もうちょっとライブ音源が出てきてもいいんじゃないかと思ってしまいますね。

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