今回は当サイトが企画したTwitterでの投票企画、80年代アルバムランキングを様々な角度から分析してみたいと思います。
今回のランキングの全体的な傾向は? 他のメディアがやっているランキングでいえばどれに近しいのか? どういう偏りがあったのか? どんなジャンルが弱かったのか? などなどを細かく論じでいきたいと思います。
ランキングを見て不満をもった人も、ある程度満足してくださった人も、80年代の音楽に明るくない方も、補足資料として本記事を読んでいただければ、と思ってます。
イギリス
まず全体をざっと眺めて国別に何枚ランクインしたか見てみます。
結果、イギリス45枚、アメリカ34枚、日本13枚、アイルランド3枚、ドイツ2枚、オーストラリア1枚(AC/DC)、カナダ1枚(Bryan Adams)、英米合作1枚(Brian Eno & David Byrne)。
でした。
イギリス強いですね。
始める前からなんとなくアメリカよりもイギリス勢が強いランキングになるかなと思っていたんですけど、予想以上でした。
アメリカと11枚の差をつけています。
もの凄い乱暴な言い方になってしまいますが、親しみやすくて湿っぽいメロディーが多いイギリスの方が日本の音楽リスナーとの親和性が高いのかもしれません。
それではイギリス出身アーティストのランクイン内容を見てみましょう。
1位 | 『The Queen Is Dead』The Smiths 1986年 | 1371点 |
3位 | 『The Stone Roses』The Stone Roses 1989年 | 1105点 |
5位 | 『Disintegration』The Cure 1989年 | 719点 |
10位 | 『Black Sea』XTC 1980年 | 615点 |
12位 | 『Steve McQueen』Prefab Sprout 1985年 | 558点 |
13位 | 『High Land, Hard Rain』Aztec Camera 1983年 | 538点 |
16位 | 『Synchronicity』The Police 1983年 | 501点 |
17位 | 『Closer』Joy Division 1980年 | 496点 |
18位 | 『Hats』The Blue Nile 1989年 | 494点 |
22位 | 『Sandinista!』The Clash 1980年 | 390点 |
23位 | 『Hounds Of Love』Kate Bush 1985年 | 385点 |
25位 | 『Tin Drum』Japan 1981年 | 354点 |
26位 | 『Café Bleu』The Style Council 1984年 | 347点 |
30位 | 『Avalon』Roxy Music 1982年 | 325点 |
32位 | 『So』Peter Gabriel 1986年 | 312点 |
35位 | 『Songs From The Big Chair』Tears For Fears 1985年 | 302点 |
37位 | 『Oranges & Lemons』XTC 1989年 | 299点 |
39位 | 『Pornography』The Cure 1982年 | 295点 |
43位 | 『Cupid & Psyche 85』Scritti Politti 1985年 | 291点 |
44位 | 『Treasure』Cocteau Twins 1984年 | 283点 |
46位 | 『Deceit』This Heat 1981年 | 277点 |
50位 | 『Faith』George Michael 1987年 | 260点 |
51位 | 『Psychocandy』The Jesus and Mary Chain 1985年 | 254点 |
52位 | 『Discipline』King Crimson 1981年 | 252点 |
53位 | 『Spirit of Eden』Talk Talk 1988年 | 245点 |
54位 | 『North Marine Drive』Ben Watt 1983年 | 244点 |
59位 | 『Our Favourite Shop』The Style Council 1985年 | 233点 |
61位 | 『Substance』New Order 1987年 | 226点 |
65位 | 『The Smiths』The Smiths 1984年 | 206点 |
66位 | 『Meat Is Murder』The Smiths 1985年 | 204点 |
67位 | 『Peter Gabriel(3:Melt)』Peter Gabriel 1980年 | 204点 |
68位 | 『Hatful of Hollow』The Smiths 1984年 | 202点 |
70位 | 『Scary Monsters (And Super Creeps)』David Bowie 1980年 | 201点 |
74位 | 『The Flowers of Romance』Public Image Ltd 1981年 | 187点 |
76位 | 『Rio』Duran Duran 1982年 | 183点 |
78位 | 『Darklands』The Jesus and Mary Chain 1987年 | 179点 |
80位 | 『Talk Is Cheap』Keith Richards 1988年 | 176点 |
83位 | 『Make It Big』WHAM! 1984年 | 165点 |
84位 | 『Colossal Youth』Young Marble Giants 1980年 | 163点 |
87位 | 『The Gift 』The Jam 1982年 | 158点 |
88位 | 『Diamond Life』Sade 1984年 | 156点 |
92位 | 『Colour by Numbers』Culture Club 1983年 | 150点 |
93位 | 『Skylarking』XTC 1986年 | 149点 |
94位 | 『If I Should Fall From Grace With God』The Pogues 1988年 | 148点 |
99位 | 『Power, Corruption & Lies』New Order 1983年 | 137点 |
いやーThe Smiths強いですね。
1位 | 『The Queen Is Dead』The Smiths 1986年 | 1371点 |
65位 | 『The Smiths』The Smiths 1984年 | 206点 |
66位 | 『Meat Is Murder』The Smiths 1985年 | 204点 |
68位 | 『Hatful of Hollow』The Smiths 1984年 | 202点 |
ラストアルバムの『Strangeways, Here We Come』以外オリジナルアルバムはすべてランクインしました。
そして編集盤の 『Hatful of Hollow』 までランクインして計4枚ランクインですからね。すごい人気です。
これがアメリカのランキングだったらThe Smithsはランクインしてもこれほど複数枚入らず、上位でもないと思うのでどちらかというと今回のランキングはイギリスに近い傾向があるのかもしれないですね。
Rolling StoneやPitchforkなどのアメリカのメディアが選出した80年代のリストよりもイギリスのNMEが選出したリストのほうに近い気がします。
他にもイギリス寄りだなと思うのがXTCのランクイン数です。
10位 | 『Black Sea』XTC 1980年 | 615点 |
37位 | 『Oranges & Lemons』XTC 1989年 | 299点 |
93位 | 『Skylarking』XTC 1986年 | 149点 |
XTCは特に大きなヒットを飛ばしたバンドでもありませんし、どちらかといえば玄人好みっぽい所はあるバンドなんですけど、今回なんと3枚もランクインしました。
本国イギリスでもこんなにランクインしないと思いますので、XTCの日本での人気ぶりがうかがえますね(まあ、Twitterの特定のクラスタがそうだったに過ぎないという見方もできますが…)
80年代や90年代前半に活躍したの日本のミュージシャンたちには、XTCはものすごく人気があって、様々な場面で言及されることも多いので、その影響もあるかもしれません。
80年代に一世を風靡したゲートエコーによるドラムサウンドを確立し、優れたギターワークで一つの完成形を見せた 『Black Sea』 、従来のひねくれ感は維持しつつもポップな側面を前面にだしたキャッチーな 『Oranges & Lemons』 、鬼才Todd Rundgrenのプロデュースでトータルな完成度が高い 『Skylarking』 と代表作に挙げるならこの三枚だろうなというのが見事ランクインしました。
『Oranges & Lemons』 がこれほど人気あるのはちょっと意外でしたが。
さて、単純にイギリスとしてくくってしまうと45枚という結果になりますが、イギリスは主にイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドから成っていて、イギリスに住んでいる人としては、スコットランドもウェールズもイングランドも、基本的には違う国という認識みたいですので、そこを分けて考えてみてみると興味深いと思います。
例えば、84位のYoung Marble Giantsはウェールズですし、13位のAztec Camera、18位のThe Blue Nile、44位のCocteau Twins、51位と78位のThe Jesus and Mary Chainはスコットランド出身のバンドです。
更にイングランドの中でも地域性でかなり違いがありまして、例えばThe Smiths、The Stone Roses、Joy Division、New Orderはマンチェスターという工業都市出身のバンドで、彼らの得点だけで3721点ありますから、80年代に強力なバンドがマンチェスターから出てきたことがわかります。
イギリスのミュージシャンだけどやっているのはアメリカの音楽?
とここまでイギリスのミュージシャンのアルバムの話をしてきたんですけど、音楽性がイギリス的かといったらそうでもないんですよね。
例えば80位のKeith Richards 『Talk Is Cheap』なんか、まあストーンズ時代からそうなんですけど、やってるのはファンクとブルースを織り交ぜたロックだったりするんで、もうテイストとしては完全にアメリカの音楽なんですよね。バックのミュージシャンもほぼ全員アメリカ人ですし。
22位のThe Clash『Sandinista!』なんか、ほぼダブとレゲエのアルバムですからカリブ海ルーツの音楽なんですよね。
あとは活動ベースがイギリスじゃなくてもうアメリカに移ってるミュージシャンも沢山いますし。
地域別にみていくことにどれだけ意味があるのかということもあります。
しかし、面白いのが逆にアメリカのミュージシャンでイギリスっぽいことをやってるのはあんまりないんですよね。
まあ、20世紀のポピュラーミュージックのルーツって、ほぼアメリカから来てるので「イギリスっぽい」ということがどういうことなのかという、これだけで一記事かけるような疑問もあるんですけど。
ランクインしなかった80年代イギリスの名盤
それではランクインしなかったけれども、ランクインしてもおかしくなかった80年代イギリスの名盤を見ていきたいと思います。
『For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?』The Pop Group 1980年
ポストパンクの名盤。The Pop Groupはファーストが有名ですが、このセカンドも負けず劣らずの名作です。
同じくポストパンクの名盤といわれているThis Heat 『Deceit』が46位という結構な高順位だっただけにランク外は意外でした。
日本ではCDが廃盤状態でずっと手に入らなかった時期が長かったので、その影響もあるのかもしれません。
『Ocean Rain』Echo & The Bunnymen 1984年
Echo & The BunnymenはU2がビッグになる前はU2と比較されたりするようなニューウェーブバンドだったみたいですけど、今回はランク外でした。
U2みたいなドラマチックさもあるし、ギターバンドとしての面白さもあって、すごくいいバンドだと思います。
このアルバムは4枚目で、ここまでのアルバム全部おんなじくらい良いんですけど、本作は個人的には最高傑作だと思っています。
『Eden』Everything But the Girl 1984年
『You Can’t Hide Your Love Forever』Orange Juice 1982年
『Pacific Street』The Pale Fountains 1984年
Aztec Cameraの『High Land, Hard Rain』が13位というかなりの高順位だったり、 Ben Watt『North Marine Drive』 がランクインしたり、ネオ・アコースティック(以下ネオアコ)の名盤が思わぬ高順位だったり、予想外のランクインだったりしたんですけど、その分漏れてしまったネオアコの名盤も多くありました。
まずはその、 Ben Watt の在籍しているEverything But the Girlのデビュー作 『Eden』 。
そしてネオアコの代表的な名盤と呼ばれる The Pale Fountainsの『Pacific Street』 、Orange Juiceの『You Can’t Hide Your Love Forever』 。
ここら辺はランクインしてもおかしくなかったんじゃないかと思いました。
『Juju』Siouxsie and the Banshees 1981年
『In the Flat Field』Bauhaus 1980年
5位に 『Disintegration』、39位に 『Pornography』とThe Cureのゴス・ロック的な趣味が全開だった名盤が二枚も高順位につけましたが、ほかのゴズ・ロックバンドは残念ながらランクインならずでしたね。 Siouxsie and the Bansheesの『Juju』やBauhaus『In the Flat Field』ぐらいはランクインしてもおかしくなかったと思います。
『…Nothing Like the Sun』Sting 1987年
The Policeの『Synchronicity』が13位と高順位でしたが、The PoliceのStingのソロ代表作はランク外でした。
アメリカ
今度はアメリカ出身のアーティストたちのランクインアルバムを見てみましょう。
アメリカ勢のランクインは34枚でした。
2位 | 『Remain in Light』Talking Heads 1980年 | 1300点 |
4位 | 『Doolittle』Pixies 1989年 | 735点 |
6位 | 『Sign “☮” the Times』Prince 1987年 | 714点 |
7位 | 『Thriller』Michael Jackson 1982年 | 663点 |
11位 | 『Appetite for Destruction』Guns N’ Roses 1987年 | 611点 |
14位 | 『Purple Rain』Prince & The Revolution 1984年 | 532点 |
15位 | 『The Nightfly』Donald Fagen 1982年 | 529点 |
19位 | 『It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back』Public Enemy 1988年 | 460点 |
21位 | 『Daydream Nation』Sonic Youth 1988年 | 393点 |
28位 | 『Parade』Prince & The Revolution 1986年 | 327点 |
29位 | 『Rain Dogs』Tom Waits 1985年 | 325点 |
31位 | 『3 Feet High And Rising』De La Soul 1989年 | 319点 |
34位 | 『Murmur』R.E.M. 1983年 | 306点 |
45位 | 『Around the World in a Day』Prince & The Revolution 1985年 | 279点 |
47位 | 『On Fire』Galaxie 500 1989年 | 274点 |
48位 | 『Janet Jackson’s Rhythm Nation 1814』Janet Jackson 1989年 | 266点 |
49位 | 『Graceland』Paul Simon 1986年 | 261点 |
55位 | 『Straight Outta Compton』N.W.A. 1988年 | 244点 |
56位 | 『Surfer Rosa』Pixies 1988年 | 238点 |
57位 | 『She’s So Unusual』Cyndi Lauper 1983年 | 238点 |
58位 | 『1999』Prince 1982年 | 236点 |
62位 | 『Licensed to Ill』Beastie Boys 1986年 | 212点 |
69位 | 『Stop Making Sense』Talking Heads 1984年 | 201点 |
72位 | 『You’re Living All Over Me』Dinosaur Jr. 1987年 | 192点 |
75位 | 『Bug』Dinosaur Jr. 1988年 | 185点 |
77位 | 『Lovesexy』Prince 1988年 | 179点 |
79位 | 『New York』Lou Reed 1989年 | 178点 |
85位 | 『Sister』Sonic Youth (1987年) | 161点 |
89位 | 『Born in the U.S.A.』Bruce Springsteen 1984年 | 155点 |
90位 | 『Master of Puppets』Metallica 1986年 | 154点 |
91位 | 『Document』R.E.M. 1987年 | 151点 |
95位 | 『Lifes Rich Pageant』R.E.M. 1986年 | 147点 |
96位 | 『Control』Janet Jackson 1986年 | 140点 |
98位 | 『Bleach』Nirvana 1989年 | 138点 |
イギリスでランクインしたものがバンド中心だったのに比べるとアメリカは、Hip Hopあり、R&Bあり、メタルあり、ポップありで、バランスよくランクインしてますね。
しかしこの34枚中Princeのアルバムがなんと6枚もランクインしていました。
6位 | 『Sign “☮” the Times』Prince 1987年 | 714点 |
14位 | 『Purple Rain』Prince & The Revolution 1984年 | 532点 |
28位 | 『Parade』Prince & The Revolution 1986年 | 327点 |
45位 | 『Around the World in a Day』Prince & The Revolution 1985年 | 279点 |
58位 | 『1999』Prince 1982年 | 236点 |
77位 | 『Lovesexy』Prince 1988年 | 179点 |
60年代のThe Beatles、70年代のDavid Bowieと並び評されるぐらい80年代のPrinceのキャリアってものすごいものがあるんですけど、見事にそれが表れた結果でしたね。
今回1アーティストにつき投票できるのは2枚までという、割と厳しい縛りを設けたので、この結果は限られた一部のファンが沢山Princeのアルバムに投票したということではなく、80年代の彼の作品が多くの人からまんべんなくそれぞれ評価されているということだと思います。
そしてほかに3枚以上アメリカ出身のアーティストでランクインしていたのはR.E.M.でした。
34位 | 『Murmur』R.E.M. 1983年 | 306点 |
91位 | 『Document』R.E.M. 1987年 | 151点 |
95位 | 『Lifes Rich Pageant』R.E.M. 1986年 | 147点 |
これは結構意外でしたね。もちろんR.E.M.は偉大で、世界的に有名なバンドだし、本国アメリカではほとんどNo.1といっていい程、アメリカを代表するビッグなバンドです。
しかし、日本ではそのアメリカでの知名度や扱われ方に比べたら比較的地味な扱いで、90年代のアルバムは人気ですが、80年代の作品群はそれほど人気なさそうだなと勝手に思っていました(すみません僕が間違ってました)。
ところが、結果を見るとその人気と実力に見合った枚数の存在感を発揮していました。
ランクインしなかった80年代アメリカの名盤
それではランクインしなかったけれども、ランクインしてもおかしくなかった80年代アメリカの名盤を見ていきたいと思います。
『New Day Rising』Hüsker Dü 1985年
Number Girlの人気が未だに高くて、彼らに大きな影響を与えたPixesが二枚ランクイン(4位『Doolittle』、 56位『Surfer Rosa』)しているにも関わらず、大きな影響元の一つである Hüsker Düがランク外なのは意外でした。
『Tim』The Replacements 1985年
R.E.M.と並んで、アメリカインディーロック、オルタナティブロックの始祖的な存在の彼らですが、一枚もランクインせずでした。名盤が多いので票がばらけたというのもありますけど、R.E.M.が三枚ランクインするなら一枚ぐらい入って欲しかったですね…。
『TOTO IV』TOTO 1982年
80年代は「産業ロック」と揶揄されるようなポップで親しみやすいバンドがメガヒットを記録していた時代でもありましたが、それらのバンドのアルバムはランクインしていませんでした。
批評的には無視されていた側面もあって、最近またちゃんと顧みられるようになってきた気もしますが、ランクインまではいかなかったみたいです。
『Damaged』Black Flag 1981年
『13 Songs』Fugazi 1989年
『Fresh Fruit for Rotting Vegetables』Dead Kennedys 1980年
『Bad Brains』Bad Brains 1982年
80年代はアメリカのハードコアシーンが多いに盛り上がった時代でもありましたが、上記の名盤は残念ながらランク外でした。
『Like a Virgin』Madonna 1984年
80sを代表するポップアイコンであるMadonnaですが残念ながらランク外でした。
寧ろ音楽的というよりはポップカルチャー全般や社会的に与えた影響が今日かなり評価されているので、その点で不利だったかもしれません。
アイコンとしての重要性が先に来てしまっているというか。
実際には音楽的にも冒険を続けてきてるミュージシャンですが、音楽的な面での評価はむしろ90年代以降のほうが高めですので、それも今回のランク外に影響しているかもしれません。
『Mother’s Milk』Red Hot Chili Peppers 1989年
『Pretty Hate Machine』Nine Inch Nails 1989年
NirvanaやMy Bloody Valentine、 Dinosaur Jr.、Sonic Youth、R.E.M.など、80年代より、むしろ90年代に世界的にブレイクしたバンドの初期作品が今回複数枚ランクインしていました。
ところが90年代に大ブレイクする Red Hot Chili Peppers の80年代の作品群や Nine Inch Nails のファーストアルバムはランクインならずでしたね。
特に Nine Inch Nails のファーストは現行のシーンにも結構親和性が高いと思っていて、そういう意味でもランクインしてほしかったなという思いはあったりします。
邦楽
続いて邦楽でランクインしたアルバムを見ていきます。
9位 | 『A LONG VACATION』大滝詠一 1981年 | 638点 |
24位 | 『メシ喰うな!』 INU 1981年 | 360点 |
27位 | 『BGM』Yellow Magic Orchestra 1981年 | 347点 |
36位 | 『VISITORS』佐野元春 1984年 | 302点 |
38位 | 『THE BLUE HEARTS』THE BLUE HEARTS 1987年 | 296点 |
40位 | 『南蛮渡来』暗黒大陸じゃがたら 1982年 | 295点 |
41位 | 『FOR YOU』山下達郎 1982年 | 294点 |
60位 | 『靖幸』岡村靖幸 1989年 | 227点 |
64位 | 『十七歳の地図』尾崎豊 1983年 | 207点 |
73位 | 『THREE CHEERS FOR OUR SIDE~海へ行くつもりじゃなかった~ 』Flipper’s Guitar 1989年 | 189点 |
86位 | 『BLUE BLOOD』X 1989年 | 160点 |
97位 | 『Perspective』P-MODEL 1982年 | 139点 |
100位 | 『DON’T TRUST OVER THIRTY』ムーンライダーズ 1986年 | 135点 |
今回のランキングの最大の特徴は邦楽と洋楽の区別なしの投票だったので、「いったい何枚の邦楽アルバムがランクインするか」というのも楽しみの一つでした。
結果的に13枚がランクインして数量的にもランクインした面子的にも概ね予想の範囲内でした。
昨今のシティポップブームを考慮すると、41位の『FOR YOU』山下達郎はもっと上位、もしくは他のアルバムも複数枚ランクインするかなと思っていたので、そこは意外でした。
9位の大滝詠一『A LONG VACATION』 とこんなにも差が開いたのも予想外でしたね。
60位に岡村靖幸『靖幸』がランクインしていて、これもかなり高評価だと思いました。邦楽アルバムランキングでは90年代に発表された『家庭教師』が常連ですが、前作にあたる本作も根強い人気があることを再確認しました。
今回Princeが異常に強いランキングでしたが、岡村靖幸は当時和製Princeなどともいわれてたので、本作のランクインはそういう意味でも納得です。
また代表作の多さとファンの間でも最高傑作が何であるかの意見が割れることから、ムーンライダーズは圏外になるかと思ってましたが、今回はギリギリ100位に滑り込みました。80年代は『カメラ=万年筆』や『マニア・マニエラ』など、80年代の彼らの作品には他の最高傑作候補もありましたので票がもっと割れると思っていましたが。
ランクインしなかった80年代邦楽の名盤
『テクノデリック』Yellow Magic Orchestra 1981年
YMO(Yellow Magic Orchestra)は27位『BGM』一枚でしたが、同じく評価の高い『テクノデリック』がランク外だったのも予想外、というか『BGM』と『テクノデリック』でこれほど差がでるとは思ってなかったです。
『軋轢』Friction 1980年
『THE ROOSTERS』THE ROOSTERS 1980年
『RHAPSODY』RCサクセション 1980年
上記三枚は邦楽名盤ランキングでは常連ですけど、今回はランクインしませんでした。
実は2020年に同じくTwitter上でやった投票企画、邦楽アルバムベスト100でもランクインしなかったんですよね。
募集する僕の周りのクラスタの特徴なのか、評価の軸が変わってきているのか、どちらかだとおもいました。
『VARIETY』竹内まりや 1984年
シティポップ文脈で竹内まりや『Variety』などもランクインするかと思ってましたが圏外でした。
さて次のページからはジャンル別に、今回のランキングを見ていきたいと思います。