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【マイルス・デイヴィス入門】初心者におすすめのアルバム、曲

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)。ジャズはあんまり聴かないという音楽ファンも名前だけは聞いたことがあると思います。

ジャズの歴史上で一番影響力があって、一番多くの成果を残してきたミュージシャン、といっても過言ではないと思います。

ただ、膨大なアルバムと長いキャリアの人ですので、興味はあるけどどこから入れはいいか全くわからない…というかたも多いんじゃないでしょうか。

また音楽性もかなり変化してきたこともあって、ベストアルバムを聴くにしてもその全体像を把握できるようなベスト盤がそもそもなかったりするんですよね。

というわけで今回好きなジャンル別に入門アルバムを分けてみましたので、目次から自分が興味がありそうな項目にジャンプしてみてください。

シンプルに一般的なジャズの演奏をしているマイルスを聴きたい。ストレートなジャズをやっているマイルスが聴きたい。

『リラクシン』(Relaxin’ with the Miles Davis Quintet)

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まあ、今回このセクション以外で紹介していくほかのアルバムは、所謂一般的なリスナーがジャズと判断しそうな音楽性からは逸脱しているものが多かったりします。

そういう別ジャンルに接近した、もしくはジャズのあり方を問うような、実験的挑戦的なレコードじゃなくて、ストレートにジャズをやってるマイルスから聴いてみたいというのも人情だと思います。

ということで、そういうストレートなジャズ作品でおすすめなのがこちら、『リラクシン』です。

『リラクシン』は1958年にプレスティッジ・レコードからリリースされたアルバムで、実はこのアルバム、1956年の5月11と10月26日のたった2日のセッションの音源を集めた一枚なんです。

この2日間のセッションから『スティーミン (Steamin’ with the Miles Davis Quintet)』、『ワーキン (Workin’ with the Miles Davis Quintet)』、『クッキン (Cookin’ with the Miles Davis Quintet)』という本作を合わせて、なんと4枚のアルバムが作成されています。

というのはもともと、レコード会社の移籍に伴って、プレスティッジとの契約を消化するためにやられたセッション(通称マラソン・セッション)だったんですね。

だからと言ってやっつけ仕事的なクオリティなのかといえば、まったくそうではなく、新曲などを新しく用意するような準備期間もなかったことから、普段ステージで披露している得意なスタンダードナンバーを多く含んだ、当時のマイルスバンドのベストとも言える内容のセッションになったんですね。

というわけで、このセッション、契約消化のためとはいえ、非常に充実した演奏が多いんです。

しかもスタンダードナンバーも多いことからジャズ初心者にも非常にわかりやすいキャッチーな演奏になっています。

マイルスが歌のメロディをなぞったフレーズを主に吹いてますので、これがマイルスのトランペットなんだというのも分かり易いです。

メロディーを奏でるリリカルなマイルスのトランペットのフレージングと、彼のバンドの充実したソロ演奏が収められた珠玉の演奏集になっていますし、長さも36分ちょいと、聴きやすいプレイタイムになっています。

マイルスを聴いたことなくて、これから聴こうとする方って、極端な話、ジャズ自体まだそんなに聴いたことない方も多いとおもうんですよ。

そんな方にとってジャズ入門的にも機能するのではと思っています。

本当は一番おすすめなのは、Victorから出ているプレスティッジ・レーベル時代の音源をまとめたベスト盤『The Best of Miles Davis』なんですけど、廃盤なんですよね…。

ブックオフやメルカリで運よく見かけたら買ってみてください。

またSpotifyで同内容のプレイリストを作成しましたのでよろしければ聴いてみてください。

電子音楽、アンビエントが好き

『イン・ア・サイレント・ウェイ』In A Silent Way

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IDMなどの電子音楽アンビエントミュージックなどが好きな方におすすめのマイルスのアルバムが1969年に発表された『イン・ア・サイレント・ウェイ』です。

チック・コリアChick Corea)、 ハービー・ハンコックHerbie Hancock)、ジョー・ザビヌル(Joe Zawinul)の三者のエレクトリック・ピアノをフィーチャーして、本格的に電子楽器を取り入れた最初のアルバムがこちらですね。

スペイシーで、リズムの反復を生かした、抽象的な楽曲構造、サウンドは、同時代のジャズやロックなどよりも、アンビエントやIDMに近いものがあります。

まさに新しすぎたアルバムなんですよね。

僕はマイルスのアルバムで本作が一番好きだったりします。

本作が気に入ったという人は、本作参加のハービー・ハンコックのリーダーアルバム、 Mwandishi (1971)、Crossings (1972) 、Sextant (1973)の三部作がおススメです。

ロックが好き

『ジャック・ジョンソン』Jack Johnson

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『ジャック・ジョンソン』は1971年に発表されたアルバムで、ボクサーのジャック・ジョンソンをめぐるドキュメンタリーフィルムのサウンドトラックとして作成されました。

ギタリストのジョン・マクラフリン(John McLaughlin)が、大体的にフィーチャーされてまして、彼のロック的なギタープレイが存分に楽しめるアルバムになっています。

また、本作のドラムの大部分をロックに与えた影響も大きいビリー・コブハムが担当していたりします。

ジェームズ・ブラウンやスライ&ザ・ファミリー・ストーンなどを参考にしていたりして、ファンク的でもあるんですけど、最強のロックバンド的なものをやってやろうというコンセプトがあったみたいです。

ファンクが好き

『オン・ザ・コーナー』On the Corner

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同時代の様々な音楽から影響を受けてきたマイルス。

ロックだけでなく、当然ファンクからも影響を受けて凄いアルバムを一枚残しています。

それが、1972年に発表された『オン・ザ・コーナー』です。

先ほど紹介した『ジャック・ジョンソン』にもファンク的な要素は十分あったんですけど、今作はそれを更に推し進めた作風になっています。

『ジャック・ジョンソン』はロックファンが聴いて違和感はやはり感じるとおもうんですよ、けど本作はファンクのファンが聴いてもあんまり違和感ないんじゃないでしょうか。

ポップなマイルスを聴きたい。

『ユア・アンダー・アレスト』(You’re Under Arrest)

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『ユア・アンダー・アレスト』は1985年に発表されたアルバムで当時マイルスはもうすぐ60歳になるかという年齢でした。

様々な実験や試行錯誤を繰り返し、結果を残してきたマイルスがちょっと肩の力を抜いたのか、ポップな作風を取り入れたのがこのアルバムです。

有名なのが、マイケル・ジャクソン「ヒューマン・ネイチャー」シンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」のカバーです。

所謂歌のメロディーラインをマイルスのトランペットがなぞっているんですけど、これがもう極上なんですよね。

やっぱりマイルスってトランぺッターとしても凄いんだなということが、ポップなメロディーによって分かり易く提示されている名曲の名演ですね。

ロックミュージシャンで元ポリスのスティングもフランス人の警官役として何故かアルバムにゲスト出演していたり、話題性もあるアルバムで聴きやすい一枚だと思います。

まとめ 『Kind Of Blue』はマイルス入門にふさわしいのか。

ここまで全部読んでいただいて、マイルスで一番有名なアルバムで、ジャズの長い歴史の中で最も優れている作品の一つと評される『カインド・オブ・ブルー』(Kind Of Blueが出てこないのはどうして? と思われたかたもいるかもしれません。

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実は僕はマイルスで一番名が知れてる『カインド・オブ・ブルー』、そしてジャズの領域をはみ出して様々な音楽性を取り込んだその音楽的冒険の集大成として挙げられる『Bitches Brew』から入ったんですね。

しかし両方とも当時の僕にはどうもとっつきにくかったようで、ジャズやマイルスの音楽を深く聴きこんでいくのにはそれから何年もかかってしまいました。

そんな自分の経験からこの記事を作成してみた次第です。

2作とも名作であることは間違いなく、特に『カインド・オブ・ブルー』はジャズを語る上では避けて通れない一枚なんですけれども、だからといって個人的には入門に適しているとは思わないです。

勿論この2作から入ってもいいと思いますし、早めに聴いておいて損はないとは思うのですが。

あとは別角度の入門として書籍があります。マイルスのディスクガイドももちろんおすすめなのですが、長めの本を読むのが苦でない方なら自伝をおすすめします。

マイルスって天才肌みたいなこと言われてるんですけど、これ読むとめちゃくちゃ勤勉なんですよね。

行動力ももちろん凄いんですけど、ちゃんと音楽について勉強して、よく考え、ほかのプレイヤーから色々と技術を盗んで今の評価があるんです。

そのあくなき向上心と実験精神みたいなものが、よくわかる一冊ですので、ジャズファンのみならず、ミュージシャンを目指したい人にもおススメです。

まあそういった音楽的な話だけじゃなくてマイルスの破天荒エピソードや、ほかのジャズミュージシャンの逸話とかも読めますんで、ジャズファンは必読だと思いますね。

僕はこの本アンダーラインだらけです。

長々と書いていきましたけど、結局は出会いのタイミングとか運だったりもします。いまピンとこなくても後で凄いとおもったりすることもありますしね。

ということで本稿をきっかけにマイルスのその広大で深遠な作品世界に飛び込んでいただけたら幸いです。

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