おすすめ新譜・旧譜(2023年11月)

2023年11月のおすすめ旧譜・新譜をお送りします。新譜や年間ベストなんか興味ないというそぶりを見せておきながら、ちゃっかり23年の音楽を聴き始めてしまいました。というかつい最近出たやつが多めです。

『Tx3k』Texas3000 (2023年)

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ハードコアっぽいジャケだが、内容はどちらかというとエモ(しかしエモもなかなか大きな言葉になってしまったから使いにくい)っぽい。非常にエモーショナルでドラマチックで美しい展開が多い楽曲群が詰まっている(まあ欲を言えば前半の曲の方がよい……良すぎる)。Texas3000はJojo(Gt. / Vo.)と崎山(Dr.)kirin(Ba.)からなる日本のインディーロックバンドで本作はファースト。Vo.のJojoがどういう背景を持っているひとなのかわからないが、全編英語詞で歌われている。おすすめは最初の2曲。

「 Let Me Die (In Your Arms)」STILL DREAMS(2021年)

アイドルポップ、シンセポップ、シューゲイズ、アニソンのいい所を最適なバランスで混ぜ合わせたようなアップテンポでドリーミーなポップチューン。For Tracy Hydeを最初に聴いた時のような感動があった(いやそこまでではないか、でもいい曲)。イントロとかBメロ付近がよくあるアニソンやアイドルポップの展開なんだけど、肝心のサビで無理に盛り上げずに抑制されてる感じがシューゲイズっぽいマナーで好き。とにかくFTHが好きな人は聴いて損はないと思う。地味にあと十年ぐらいは聴き続けてそう。

「Si Te Portas Bonito」Sofia Kourtesis (2023年)

これもX(旧:Twitter)の僕のTLで話題になっていたアーティストSofia Kourtesis。ドイツのベルリンを拠点とするペルー人のDJ、プロデューサーで、この曲が収録されている『Madres』が初めてのフルアルバムとなる。でこの曲はそのアルバム2曲目。四つ打ちのダンスナンバーだが、ペルー出身だけあってスペイン語での歌唱になっているし、なんとなく中南米っぽいラテンテイストが入っており、それとベルリンで鍛え上げられたような洗練されたビートやプロダクションとの組み合わせが実に心地よい一曲。アルバム全体も素晴らしいので是非。

「Some Small Hope」 Virginia Astley (1986年)

デヴィッド・シルヴィアンのボーカルがかなり好き。ちなみにこの曲は坂本龍一プロデュースで、デヴィッド・シルヴィアンと坂本龍一の組み合わせには外れがない。

イギリスの、のどかで、爽やかでちょっとくすんだような緑に包まれた朝の田園風景に一瞬で連れて行ってくれる様なマジカルな曲である。そこは宗教的雰囲気が漂っている場所であり、僕みたいな無宗教な人間でも何かを感じずにはいられない、全てが肯定されて祝福されているような、そんな心持ちにさせられてしまう。

エンヤがもうちょっとポップスよりだったらこんな感じの楽曲になっていたかもしれない。教会的な音楽がシンセサウンドで奏でられ、聖歌隊の少年のような透き通った歌声のVirginia Astley。それに優雅で上品な低音を聞かせるデヴィッド・シルヴィアンのボーカルが重なっていく。「僕らの魂は不滅なんだ、少なくてもこれを聴いている間は」そう思わせてくれるような曲。

『Cartwheel』Hotline TNT (2023年)

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ニューヨークのインディーロックバンドの今年出たセカンド。シューゲイズ、パワーポップ好きに絶対刺さるキャッチーで陶酔感のあるギターアルバム。シューゲといってもマイブラ系じゃなくて意外と直系が少ないライド系でライド成分に飢えてる人はマスト。なんだかんだで今年一番聴いた新譜になりそう。

『Hosianna Mantra』Popol Vuh (1972年)

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ここひと月ぐらい聴きまくっている一枚。ポポル・ヴーはドイツの音楽グループ。デビュー作の『Affenstunde』がテクノやジャーマンロック文脈で語られることが多い。本作は初期の電子音楽的な要素を捨てて、よりアコースティックな音楽性に振り切った後のアルバムで、ジャンル的にはアンビエントやニューエイジの原型ともいえる。タンプーラやエレキギター、オーボエによるドローン、のびやかで透明感のあるボーカル、その隙間をしっかりとピアノやチェンバロが埋めていき、陶酔感と透明感にあふれた筆舌に尽くしがたい美しいサウンドを展開する一枚。宗教的とも民族音楽的とも、ニューエイジともアンビエントとも似通っているがそのどれとも言い切れないような場所でなっている不思議なサウンド。

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