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邦楽アルバムベスト100 ~70位から61位~

2019/11/24
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前回に引き続き、邦楽アルバムベスト100です。

今回は70位から61位。早いもので今回で4回目になりました。

70位から61位までは、あの人気アーティストのアルバムが2枚登場します。また今回は80年代後半から90年代前半の間のアルバムが多いですね。

今回ランキングを作成してみて、結構その時期のアルバムがランクインしてることが多いので、自分の中ではかなりツボな時期なのかもしれないですね。



70位 あがた森魚『乙女の儚夢』 1972年


幸子の幸はどこにある?

21世紀でもその強度を保っている名曲「赤色エレジー」収録、バックをムーンライダーズの面々が固めた名作。

このアルバムはできるならレコードで所有しておきたい作品ですね。漫画家で、「小梅」という飴のイメージキャラクター、小梅ちゃんでも知られる、林静一がデザインしたアートワークがとにかく秀逸です。

  • 「赤色エレジー」


代表曲。あがたさんは当時、自分で歌いながら自分で泣いていたらしいですが、過剰な入れ込みや没入こそが個性であり魅力かと。

曲のもとになったのは林静一氏の同名の漫画。これも漫画史に残る一作とされていますので、よければ是非一読を。

  • 「君はハートのクイーンだよ」


フィドル(バイオリン)をフィーチャーした、非常に軽やかなビートに乗ったカントリー調のコミカルなラブソング曲。アルバムのなかではひときわ明るい曲で楽しい感じが伝わってくる好演。

  • 「清怨夜曲」


本作のラストナンバーにしてハイライト。大正・昭和感のあるタンゴから始まりロックバンドの演奏に変わる実にスリリングな曲。エモーショナルなボーカルと歌詞はタンゴとの相性抜群。

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69位 フォーク・クルセダーズ『紀元貮阡年』 1968年


ジャックスの『ジャックスの世界』と並ぶ日本のロック黎明期の名盤フォークミュージックをベースに、スタジオでの実験精神と類稀なユーモアのセンスが融合した名作。

音数も限られてますし、確かに68年らしい古さはありますが、色彩感覚豊かな白黒映画の様なアルバムですね。その時の持てるだけの技術と趣向を凝らした、音楽性の豊かなアルバムです。

  • 「帰って来たヨッパライ」


日本初のミリオン超えシングル。

テープスピードの編集やサンプリング的引用を駆使した実験的コミックソングがこれだけ大ヒットしたというのも興味深いです。

内容は飲酒運転ソングなのでコンプライアンス的に今は無理だろうな…。 テンポを落として普通に歌って録音したものをテープスピードを上げて再生するとこのような変な歌声になります。

最後に「エリーゼのために」が出てきたり、お経のリズムでビートルズの「ハードデイズナイト」を引用したりと全編に渡って実験的な試みが繰り広げられます。これほど風変わりな大ヒットソングはこの先でてこない様な気が…。

  • 「悲しくてやりきれない」


セカンドシングル。 ヒット曲を作れということで、レコード会社の一室に軟禁されて無理矢理かかされた曲。 コンプライアンス!

でもちゃんとヒットするから凄い。オリコン6位でした。 歌詞はサトウハチロー。

  • 「ドラキュラの恋」


歪んだボーカル、サイケデリックでドラッギーな曲調。ドラキュラを主人公にした童話的だが悲痛なラブソング。

サイケな雰囲気に風変わりな歌詞の食い合わせって、初期ピンクフロイドでありそうな曲ですね。

  • 「水虫の唄」


当時いかにも流行ってそうなグループサウンズ的歌謡曲。しかし、恋人にうつされた水虫によって別れた恋人との繋がりを感じるという歌詞が異質(笑)。

グループサウンズ的なスタイルをパロディなのかどうなのかは不明ですが踏襲しながら、こういうおふざけをいれてくる「茶化し」の精神がいいですね。

68位 岡村靖幸『家庭教師』1990年


えっこれが68位? 順位が低い「どうなっちゃってんだよ」って思う方もいるかと。熱狂的なファンを持つ岡村ちゃんの代表作が本作です。しかしこの当時より、今の岡村ちゃんの方が(E)naと思ってしまうんですよね…。

それから1990年と2019年の文化経済の隔たりによりあんまりのめりこめないというのもあるかと…。その結果こういう順位になりました。

  • 「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」


岡村ちゃんにしか作り得ない永遠の青春アンセム。少年ジャンプ的な奇跡を望みながらも現実に打ちのめされて強くなっていく、それでも無謀さと諦めない心はもっていたい僕らのための歌、と勝手に解釈してます。

僕は運動部に属した事は無いんですが、無理矢理応援に駆り出された事は幾度もあって、正直あんまり好きで無いクラスメイトでもコートで頑張っていると応援してました。 で、その時負けてたりすると、やっぱり感情移入してしまうんですよね。なんとか逆転できないかと、そういう時の祈りみたいなのはだからよくわかって、そういうものがここでは見事に表現されているのかと。その祈りと、望み薄な恋愛に於いて英雄的行為で振り向いてもらえたらという祈りを重ねちゃったのが凄いところだと思います。

この曲の2番は所変わって、唐突に引越しの場面になるんですね。主人公は住み慣れたこの街から出て行きたくないんですけど、もうパパとママが外で手を振って待っている状況なんです。これももうほとんど覆しようのない事態ですよね、そんな時でもやっぱり祈ってしまうんですよね…。なんとかならないかと。そういう状況を重ねて描いているのも上手いと思います。

  • 「カルアミルク」


これも普遍的ななにかを持つ名曲ですよね。

岡村ちゃんの楽曲ってやっぱり「汚れつちまつた悲しみに」とでもいいましょうか、「大人の」ダーティーさを謳歌しつつも、どこかでで失われてしまった「純粋性」を強く求めるみたいなところがありますよね。

これも「今はジュースみたいなもんだけど、昔はカルアミルクですぐに酔ってしまっていた、でもそのころの気持ちで、合って色々素直に話したいよね」っていうことなんですよね。

  • 「どぉなっちゃってんだよ」


らしさが爆発した曲。やっぱり、こういうR&B的なリズムアプローチとか過剰なテンションとエレキギターとかプリンスを連想してしまいます。

ノリというか軽さとそれに伴う不安とかやっぱりバブリーな雰囲気ある曲。そこはちょっと距離を感じる。

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67位 高野寛『hullo hulloa』 1988年


デビュー作とは信じられないような完成度と落ち着きを感じる隠れた名盤。88年という時代の空気を確かに感じてはしまうが「暖か」で優しい手触りのそのサウンドはエバーグリーンに響いてきます。

こちらのアルバムも既に当ブログで取り扱いました。

  • 「国境の旅人」


サウンド的には凄く古い様で新しい感じがします。 Aztec Cameraの『Love』と本作に一番「80年代」を感じます。なぜだろう。

  • 「宝島まで」


何気に凝ってるベースのアレンジが好き。 吹き抜けが無い静かで小規模なショッピングモールでうすーくこの曲がかかってたら(歌部分はオルゴールトーンとかでも良い)最高にハッピーな人生と錯覚できる曲。

  • 「See You Again」


これなんか本当に80年代!って感じですが、50年代のポップみたいにエバーグリーンに感じになってると思う。 このアルバムはベタベタしない恋愛感の曲が多い。

そういう感覚ってなんとなく今っぽい感じがしますがどうでしょう。

66位 小沢健二『Life』 1994年


ハッピーなバイブスに溢れ、セールスにも恵まれた90年代を代表するポップの名盤。その裏でなんとなく無理して明るく振る舞っている様な不穏さも何処となく感じます。

90年代を代表する一曲「今夜はブギーバック」収録。

  • 「愛し愛されて生きるのさ」


憎たらしいほど良い曲。アルバムのスタートにぴったり。 前作から続けて聴くと妙に明るくなってて度肝を抜かれます。

  • 「ラブリー」


Betty Wright の「Clean Up Woman」 をイントロに持ってきた代表曲。これまたハッピーなバイブス溢れる名曲。

この「Clean Up Woman」 、沢山引用されるサンプリング元ネタ曲としても有名なんですね。

Dragon Ash「 I love hip hop」、G. love 「dreamin’」 Chance the Rapper 「favorite song」 、Mary J. Braige and Notorious BIG 「real love」などなど。

みんな”Clean Up Woman”!

さんざんこすられてるけどまだ味がでる凄い曲です(笑)。

  • 「ドアをノックするのは誰だ?」


タイトルはマーティン・スコセッシの映画の邦題から。6分以上もあるんだけど体感3分ぐらいに聴こえる恐ろしい曲。

「LIFE」は9曲しか入っていなくて、曲数はCD時代の割には少ないと感じるんですが、一曲一曲が濃いから全然満足できるんですよね。

  • 「ぼくらが旅に出る理由」


この曲については樋口毅宏の小説『さらば雑司ヶ谷』を読んでください。

それにしてもオザケンかわいいですね。なんなんだこの可愛さは(笑)。

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65位 オリジナル・ラブ『結晶』1992年


彼らのアルバムの中で、最も完成度の高い作品だと思う一枚。夜のドライブに最適なアルバムでもあります。

コレ以降メンバーが減ったり、Vo.の田島貴男さんのソロプロジェクトになったりするので。それ故にバンドとして完成度の高い曲が多いと思いますね。

  • 「愛のサーキット LOVE CIRCUIT」


歪んだギターで始まる「ロックな」イントロにびっくり。そのままロック的に進んでくかと思ったらそうじゃないのは流石。

恋の始まりかと思ったら高価な壺を売りつけられそうに…的な歌詞。

  • 「月の裏で会いましょう LET’S GO TO THE DARKSIDE OF THE MOON」


ロマンチックソウルバラードとも言うべき、完成度の高いシングル曲。

前作の延長線上にある曲だけど更に端正に仕上げてきた感じです。名曲。

  • 「心理学 PSYCHOLOGY」


アルバム一曲目。ベースとAメロに当たる部分の語りがカッコいい。

ジャズをベースにcoolなものをとにかく詰め込みつつも端正にシンプルにまとめあげた、正にアルバムを象徴する様な名詞がわりの一曲。

  • 「ミリオン・シークレッツ・オブ・ジャズ MILLION SECRETS OF JAZZ」


元ネタはマイルス・デイヴィスの「Milestones」。

  • 「スクランブル SCRAMBLE」


初期オリジナルラブらしさ全開と言うか、自分が彼らの中で最も魅力的だと思うのはこういう曲、歌を核とした独自のソウルミュージックです。 そしてそういうバンドとしての一体感を一番感じられるのが本作なのかなと。

  • 「ヴィーナス THE VENUS」


これもスキャンダルと双璧をなす極上のオリジナルラブ的ソウルチューン。これ聴きながら夜ドライブすると単純に気持ちいいです。

これと「スクランブル」と「月の裏で会いましょう」はキーボードの木原龍太郎さんの作詞ですね。初期オリジナルラブのロマンチックな部分は結構木原さんが担っていた気がします。

64位 ユニコーン『服部』1989年


3曲目までメンバーの演奏が一秒たりとも入っていないどうかしてるアルバム。

ハードロック、レゲエ、フォーク、オケとの共演など内容もバラエティー豊かで5人らしさが開花した名盤。

下手にカッコつけるよりカッコいい。

まあジャケットからしてどうかしています笑。売る気は無いのかと小一時間問い詰めたいですね。しかもこのおじいちゃんの名前は服部さんではありません笑。

  • 「ハッタリ」


アルバム一曲目からオーケストラに丸投げでメドレーを展開。実に舐め腐った一曲目笑。

しかしこういう出落ち的な曲って飛ばされる宿命にあるんだけど、アレンジとメロディがコミカルで本人演奏じゃ無いのにユニコーンらしさがあって結構聴いてしまうのは流石なのか。

  • 「ジゴロ」


今なら子供にこれを歌わせるとはけしからんとか言って炎上しそうですね。

  • 「服部」


リアルタイムではないんだけど、最初にこれ聴いた時、中学生か高校ぐらいで、30歳なんておっさんで年寄りだなと思ってたけど、今考えると全然若いすね。そういう意味で今さら内容に納得いくというか。

でも今の三十代は一部を除いてもうこの歌の中のような余裕は無いし、恋愛にも消極的で家庭的だとざっくりと思う。

  • 「逆光」


阿部ちゃんのペンによるシリアスで「普通にいい」曲。歌は奥田民生。隠れた名曲。

  • 「おかしな二人」


プログレ的なイントロに笑う。タイトルはニール・サイモンの戯曲からでしょうか?

ハードロックアプローチが気持ちいいギターと爽やかなメロディの食い合わせが癖になる名曲。ギターの手島さんがメタルやハードロック好きなのでこういうアプローチが出てくるのも面白いです。

  • 「デーゲーム」


ギターの手島いさむ(テッシー)作詞作曲。作家陣が厚いのもユニコーンの最大の強みであり利点。

その後の活躍から奥田民生のバンドだったんでしょ的な誤解があるかも知れないがとんでもないです。ユニコーンは全員凄い。

特に打率だけでいったらテッシーが1位です。

  • 「人生は上々だ」


メンバー3人の共作曲でメインボーカルは阿部ちゃん。

後半どんどんキーが上がっていく演者からすると鬼みたいな曲笑。

幼なじみの2人の人生をゆりかごから墓場までうたった曲。

CD/服部/ユニコーン/SRCL-3413
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63位 高中正義『SEYCHELLES』1976年


ソロデビューアルバム。A面はセイシェル諸島への旅という所謂コンセプトアルバムになってます。

このA面が極上のリゾートミュージックになっていまして、夏は絶対に聴きますね。

特に3, 4曲目は超名曲です。

B面もカッコいいです。

本作はすでに2回も当サイトで取り上げられてる常連アルバムですので、説明は割愛。

62位 スピッツ『インディゴ地平線』1996年


一番バンドとしての一体感を感じる一枚。アルバムのジャケットのせいかどことなく全体的には青みがかったようなアルバム。だがそれは青空であり、海の青みであり、インディゴブルーであり、くすんだほの暗い青であり、決して単調ではありません。

このアルバムもすでに詳しく解説していますのでそちらをご参照ください。

61位 小沢健二『犬は吠えるがキャラバンは進む』1993年


何というか、オザケンの中で一番その作家性がスッと出てきた素直な作品なんじゃ無いかと勝手に思ってます。

コアなファンからすると全然違うのかもしれないけど。

僕の中ではオザケン最高傑作です。

うまく言えないですけど、なんか一曲一曲に「使命感」みたいなものを感じるんですよね。曲が存在する意味というか、表象しようとしてるものというか。そういう「使命感」が一番色濃いのが本作『犬キャラ』なのかなと。

『Life』の方がハッピーで聴きやすく、完成度も高いのかもしれないですけれど、それより上位に置いたのはその「使命感」を強く感じたからです。

  • 「暗闇から手を伸ばせ」

犬キャラでは一番売れそうな曲ですが、自身のセールスでは最低の結果に。

シングル「天気読み」でB面曲としてすでに発表済み、アルバム発売後のリカットシングルという2つの要因からでしょう。けれど曲自体は勿論よいです。

「everyday everyday everyday」って言えてない箇所がちょくちょくあるのですが、これが計算なのか、能力の限界なのか、気にしてないのか、気付いてないのか、全てあり得そうと思えてしまえる所に小沢健二の恐ろしいところがあるとおもいます。

  • 「カウボーイ疾走」

この曲から終わりまでの三曲の流れは本当に凄いです。

小沢さんの曲は意外と長めの曲が多いんですけど、いずれも全く長さを感じない。この曲も6分弱あるんだけど3分ぐらいに感じます。




まとめ~日本のロックアルバムベスト100常連作品と昨今再評価が進んでいる名盤

69位 フォーク・クルセダーズ『紀元貮阡年』は邦楽ロックアルバムベスト100とかには初期のロック作品としてジャックスの『ジャックスの世界』と並んでランクインしている名作。なにせ1968年の作品ですから最近の作品とどう比較してよいか悩んで、順位づけに苦労しました。本来時代背景も録音の技術とかも全く異なる環境下の作品を並列に並べてランク付けすることがそもそも無茶があるのですが…。基本的に曲そのものの良さや、実験精神の有無、サウンドのオリジナリティ、そして自分がどのくらい聴いているか、好きか、で判断しました。

薬物問題に苦しんだ2000年代の汚名を返上するような2010年代の目覚しい活動で再評価も進んでいますので、68位岡村靖幸『家庭教師』は順位が低いと感じたかも知れません。前述しましたが、現在の活動やルックスのほうが好きなので、どうしても比べてしまってもの足りなさがあるんですよね…。

オザケンのアルバムが2枚ランクインしました。小沢さんも2010年代になり活動が活発になってきて、2019年にはアルバム『So kakkoii 宇宙』も発表。渋谷系再評価のながれもあり、『Life』はやはり90年代を代表する名盤だ、90年代のロンバケだ(大滝詠一『A Long Vacation』)と近年はかなり評価が高く、66位は順位が低いとおもったかもしれないですね。

60位から51位に続きます。

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